境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の原因

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の原因

 


 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の原因としては、1歳~3歳くらいまでの幼児期に、特に母親との関係で情緒的に傷ついたり、何か大切なものが形成されなかったりしたために、心の中に欠損のようなものが生じ、10代後半あたりから、さまざまな症状をきたすと考えられています。

 

 

アメリカの精神分析医M・マーラーは、乳幼児が母親との未分化な状態から一個の独立した個人として誕生するまでの精神的過程を分離固体化過程と名づけました。

 

 

生後20か月をピークとする再接近期には、それまで順調に母親離れをしていた幼児が、あるときは母親を邪魔者扱いしたり、またあるときは乳児に戻ったように母親の後を追いまわして離れようとしないという、矛盾した態度がみられます。

 

 

これは、子どもが母親とは別個の存在になるための分離不安によって起こるものです。

 

 

そして、このときの分離不安が、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)をもつ人が対人関係の場で示す特徴に合致していることから、この現象を境界現象とよび、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の発生因であるとしました。

 

そして、青年期の自我の確立という発達課題を前にしたときに、さまざまな困難を感じると、再接近期の分離不安を示すことになります。

 


 

こうした精神の未発達段階にとどまる現象がなぜ起きるのかについては諸説あります。

 

アメリカの精神分析医マスターソンは、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)を「見捨てられ抑うつ」とそれに対する防衛ととらえました。

 

 

彼は、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、対象や自己を全体像としてとらえることができず、愛情供給(報酬)型対象関係部分単位(RORU)と愛情撤去型対象関係部分単位(WORU)に分裂しているとしました。

 

RORUでは、自分がよいと思う対象に愛情が注がれるよい自己が体験され、WORUでは悪いと思う対象から見捨てられる悪い自己が体験されます。

 

そして、母親の精神病理を第一にあげ、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)をもつ人の母親は、患者と同様の病理をもっているとしています。

 

 

自分の子どもが母親離れを始めると、拒絶されたと感じてそれを許さずに愛情を撤去してしまい(WORU)、子どもがまとわりついてくると喜んで愛情を供給する(RORU)という境界現象を示すために、子どもはその時期で発達停止をきたしてしまうと主張したのです。

 

 

結果として、アイデンティティーが十分に確立されていないため、境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は孤独に耐えることができず、手首を切ったりする自殺未遂など、破壊的なやり方で何とか対象をつなぎとめようとするといわれます。

 

 

最近の研究では、特に児童期における虐待の存在が注目されています。

 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人の多くは、虐待や無視を体験していることが報告され、こうした外傷的な体験と傷つきやすい性格、きっかけとなる出来事が重なって発症するのではないかという説が出てきています。

 

また、生物学的な研究では、ノルアドレナリンやセロトニン代謝の関与も指摘されています。

 

 

 


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