境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の治療

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の治療

 


 


境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の治療

 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、ほかの障害に比べて、治療を途中で放棄する患者が多く、治療者にとっても困難な障害の一つとされます。

 

ある調査では、治療を終える者はわずか10%で、6か月以内で放棄する者50%、同じく1年以内が75%という結果が出ています。

 

 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の治療で特に問題になるのは、治療者との関係です。見捨てられ感が強いために、治療者を絶対視したり、治療者の関心をひこうと何度も電話をしたり、自宅まで押しかけたりして、治療者を悩ませることがあるからです。

 

 

治療者とのささいな行き違いなどから、見捨てられたと感じ、治療が無効になってしまうケースもあります。

 

 

また、患者個人の病理だけを対象とするのではなく、患者と外界の他者との現実の関係のあり方に着目し、その変化を促す必要があることから、母親を含めた家族面接が不可欠とされています。

 


境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の精神療法

 

一般に治療初期には支持的療法を中心とし、後に分析療法が加わることもありますが、経過に応じて適切な方法が用いられます。

 

家庭環境にストレスがあって、患者の治療や社会復帰に問題があるケース、また、特に自己破壊性や衝動性、自傷傾向が強い場合も、病院でスタッフに見守られながら、治療を続けることが必要です。

 

支持的療法

 

患者の無意識の葛藤や人格の問題に立ち入らず、患者の話をよく聞きながら、指導や助言をし、安定した信頼関係のもとで、患者の自我を強化し、本来の適応能力を回復させ現実への適応を促すものです。

 

治療者は、患者の補助役を担うことで現実検討能力、問題解決能力を高めていきます。

 

分析療法

 

ゆがんだ自我の防衛機制や無意識の葛藤を明確化し、人格の構造的変化あるいは再統合を図るものです。

 

行動療法

 

衝動と怒りの爆発を抑え、批判と拒絶に対する過敏さをやわらげる目的で用いられます。

 

社会スキル訓練法は、ビデオテープなどを用いて、患者自身にその行動がほかの人にどのような影響を及ぼすかを理解させます。

 

同時に、対人関係の行動を改善させるのにも役立ちます。

 

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の薬物療法

 

薬で人格障害(パーソナリティ障害)を治療することは難しく、薬物療法は基本的には補助的な位置づけになります。

 

認知や思考のゆがみ、不安や抑うつ、衝動的な行為・行動などに対しては、対症的に薬が用いられるほか、少量の抗精神病薬や炭酸リチウムなどが奏功する場合もあります。

 

 

急性のストレスが高い場合の短期間の精神病様状態、敵意や怒りっぼさなどを緩和させるには、抗精神病薬が有効です。

 

不安やうつ状態に対しては抗うつ薬が使われますが、衝動行動のコントロールにおいても、抗うつ薬が奏功したり、抗けいれん薬が有効な場合があります。

 

 

 

 


合わせて読みたい記事

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)とは?
境界性人格障害という分類については、いまだに未解決な問題があり、この障害が果たして人格障害といえるものなのか、単に何らかの精神障害に移行しうる状態にすぎないのではないかといった論議が現在も続いています。
見捨てられる不安が異常に強い境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)では、衝動的で、激しい怒りがよくみられるほか、アイデンティティーの障害があり、自分自身のイメージをはっきり描けません。なかでも特徴的なのは、対人関係における見捨てられ感です。
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の原因
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の原因としては、1歳~3歳くらいまでの幼児期に、特に母親との関係で情緒的に傷ついたり、何か大切なものが形成されなかったりしたために、心の中に欠損のようなものが生じ、10代後半あたりから、さまざまな症状をきたすと考えられています。
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の診断
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の診断基準として、次の九つの性格・行動傾向のうち、五つ以上の項目に該当する場合としています。
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、なぜ女性に多いのか?
境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)は、明らかに若い女性に多くみられる障害で、今後さらに増える傾向にあるといわれます。
境界性人格障害の体験談 思春期に人格障害を発症
1年ほど前からささいなことで親に殴るけるの暴力を振るうようになり、母親に連れられて精神神経科を訪れました。状況やDSM-Ⅳの診断基準、性格検査などから、境界性人格障害と診断されました。

このページの先頭へ戻る