非行の原因 【子どものころに人見知りをしなかった子どもが多い】

非行の原因

 


 

これまでの非行は、まず学校での不適応が原因で始まることが多いとされてきました。

 

授業についていくことができずに成績が低下する、ちょっとした行き違いからクラスメートとの関係がうまくいかなくなる、教師とトラブルを起こすといったことがきっかけで学校をさぼり始めます。

 

 

そして、いわゆる不良グループに加わることで、金遣いが荒くなったり、髪型や服装が乱れたり、学校をさぼって夜遅くまで遊び回り、無断外泊をするようになるというものです。

 

 

こうした従来からみられるタイプの非行少年は、父子家庭、母子家庭などの1人親家庭で放任されていたり、家族間に争いごとが多いなど、成育歴や家庭環境にマイナス要因が認められることが多いといわれます。

 

 

ところが最近は、これといった補導歴もなく、成績も特に問題のないいわゆる「普通の子」が、いきなりブランド品がほしいという単純な動機だけで盗みを働いたり、「ムカつく」「キレた」などと衝動を抑えることができず、ナイフなどで死傷事件を引き起こすケースがみられるようになっています。

 

 

総理府の「次代を担う青少年について考える有識者会議」が行った調査では、子どもたちの現状として、まず第一に「罪悪感の欠如と被害者意識」をあげ、少年たちは罪悪感なく非行に走っており、補導されると逆に少年補導員を非難するといった被害者意識をもつ例も目立つと指摘しています。

 

 

そして、子どもたちには苦しみながら悩み、自らの問題を克服するという機会やプロセスがなくなっており、規範意識が内在化されていないために、いけないことに「No」と言う自信がなく、したがって簡単にほかの人に引きずられてしまう「他律性」の傾向があるとしています。

 

 

第三に「感情を言語化し、表現する力」が弱まっており、他人とのコミュニケーションが不得意なために、問題行動や非行という形でいらいらや不安を表現している面があると分析しています。

 

家庭に関する問題としては、少子化の進行が、核家族化と相まって、家族関係の希薄化をもたらしていると指摘しています。

 

 

特に女性が結婚生活と仕事との両立に負担を感じていることをあげ、父親が子どもの教育にほとんど参加しないなかで、家事、育児の責任が女性に大きく偏っていることが少子化に結びついているとしています。

 

そして、きょうだいの数が減ったことで、子どもが一人で豊かさを独占できるようになっており、自分のやりたいことをする自由が家庭内では満たされプライバシーも守られていますが、反面、子どもの欲求を際限なくふくらませてしまったり、規範意識や忍耐力を失わせたりしていると述べています。

 

 

現在の非行少年のプロフィールは、顕著な家庭の問題もなく、知的にも普通以上の、表面上は社会的に適応している、非行の原因が見当たらない子どもたちであり、非行の真の動機や加害意識、罪悪感が不明確で、共犯で問題を起こすことが多いといえます。

 

つまり、非行がごく一部の特殊な環境下で育った人にのみ起こる現象ではなくなり、多くの青少年において、一般化してきたことを示しています。

 


 

人見知りをしない子ども

 

生後7か月を過ぎるころから、乳児の行動は積極性を増し、周囲の世界を探索しようと試み始めます。

 

そしてこのころから見知らぬ人には、はっきりおそれの表現をするようになります。これが人見知りといわれる現象です。

 

 

人見知りは、通常母親と未知の人を区別できることを意味し、同時に特定の人である母親に示す愛着の強さを表すものとみなされ、情緒面の成熟過程が起こっているとされています。

 

元保護観察官の相部和男氏は、その著書『こんな親が問題児をつくる』のなかで、非行に走った子どもたちの成育史を詳しく調べてみると、子どものころに人見知りをしなかった子どもが多いと指摘しています。

 

 

人見知りをしなかった子どもは、乳幼児期に母親の愛情を心の中に十分に受け止めていなかったために、成長すると思春期には母親のいうことをまったく聞かない子どもに育つケースが多いというのです。

 

人見知りについては、母親への愛着というよりは、まだ対人的な枠組みをもたないため、困惑するからだという説もありますが、子育てに母親の愛情が大切なことは変わりありません。

 

 

 


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