行為障害と非行

行為障害と非行

 


 

常習性の非行は、精神医学的には行為障害といわれています。

 

アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)では、行為障害の基本的特徴は、「他者の基本的人権または主要な年齢相応の社会的基準や規則を無視する行動様式が繰り返され、または持続すること」とされ、次のような条件が示されています。

 

  • 人や動物に対する攻撃性(動物に対して残酷であったり、人に対して残酷な行為をしたことがあるなど)
  • 所有物の破壊(故意に他人の物を破壊したりしたことがあるなど)
  • うそをつくことや窃盗(義務を逃れるためにしばしばうそをついたり、万引きなどをしたことがあるなど)
  • 重大な規則違反(しばしば学校を怠けたり、親の禁止にもかかわらずしばしば夜遅く外出したり、一晩中家を空けたことがあるなど)

 

この四つの行為のうち三つが過去12か月のうちにみられ、少なくとも、その一つは6か月以内であり、その行動が社会的、学業的に著しい障害を引き起こしていることが条件です。

 

しかも、基本的には、18歳以下である場合に行為障害と診断されます。

 

 

ただし、こうした行為障害は、青年期の発達の問題と切り離して考えることはできません。

 


 

青年期には、体力の急速な増進や性衝動の高まりといった身体的な変化のみならず、内的にも自己のアイデンティティー(自己同一性)を確立し、社会のなかで自分の位置を模索する時期でもあるからです。

 

 

また、社会適応の再編成期にあたり、社会の問題に敏感に反応する時期ともいえます。

 

 

このため、青年期は、心身ともに不安定で、さまざまな心理的問題が行動の形をとって発生しやすいとされています。

 

そこで、DSM-Ⅳでも、行為障害という診断は、問題となる行動が、その人に潜在する機能不全による症状であり、今おかれている社会状況に対する反応ではない場合のみに適用されるとしています。

 

 

また、行為障害は、注意欠陥・多動性障害をもつ子どもに多いともいわれています。

 

注意欠陥・多動性障害の特徴は、集中力がなく多動(授業中もじっとしていられないなど)で、衝動的な行動をとるという特徴があります。

 

多くの子どもは常に注意され叱責されるために、自尊心の低下や学習に遅れが生じやすく、ほかの子を突き倒したり、髪の毛を引っ張るなどの粗暴行動、かんしゃく発作などの問題行動がみられます。

 

 

このように衝動的になるのは、以前は微小な脳損傷が側頭葉近辺にあるためとされていました。

 

その後、脳にまったく損傷のない子どもにも「落ち着きのない行動」がみられることがわかり、はっきりした原因は明らかにされていません。

 

 

幼いころから攻撃的で衝動性が強い場合には、脳波の異常などがみられ、器質的障害を合併していることも少なくないといわれます。

 

できるだけ早く専門医と相談し、何らかの障害が認められれば、早期に治療を開始することが大切になります。

 

 

 


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