せん妄|主な原因は身体疾患や薬の副作用

せん妄|主な原因は身体疾患や薬の副作用

 


 

せん妄は、脳腫瘍などの脳の器質性疾患、心不全のような全身性疾患、薬物や、アルコールなどの摂取や離脱といったことが原因となって起こります。

 

 

【反応性の場合】

せん妄状態は、心理的な原因によっても生じてきます。手術前やがんなどの重大な病気についての不安が高じたり、また手術後にICUで過ごしたり、拘束された状況になると、意識障害を背景とした幻覚妄想状態、すなわちせん妄状態をきたすケースがみられます。

 

こうした際のせん妄は、拘禁反応とよばれることもあります。

 

 

【アルコール離脱による場合】

長期間のアルコール連用を急にやめると、2~4日後くらいからアルコール離脱症状として、振戦せん妄とよばれる症状が出ることがあります。身体疾患で内科や外科に入院し、酒が飲めなくなるのが原因で起こります。

 

 

不眠や焦燥感を前ぶれとして、意識混濁があるために見当識障害が現れ、落ち着きがなくなって興奮し、発汗、発熱、頻脈、けいれんなどの症状もみられます。

 

また、被害妄想や追跡妄想を伴うことがあり、特に虫やヘビなどが見える幻視が特徴的です。

 

 

【薬物による場合】

薬のなかでも抗コリン作用をもつ治療薬を用いると、せん妄が起こることがあります。

 

抗コリン作用とは、副交感神経の興奮を抑制することです。骨格筋や平滑筋などの筋肉を弛緩させ、分泌腺からの分泌を抑える働きがあるため、抗コリン薬は、胃潰瘍や気管支ぜんそくなどの治療薬として用いられています。

 

また、向精神薬のなかにも抗コリン作用をもつ薬が多くあります。

 

 

躁うつ病の代表的な治療薬である炭酸リチウムも、用い方によってはせん妄を誘発します。せん妄が起こる場合は、前ぶれ症状として筋肉の攣縮(れんしゅく)、強い刺激を与えなければ目覚めない嗜眠(しみん)、吃音、口ごもりなどが現れます。

 

 

【全身性の疾患による場合】

せん妄を引き起こす全身性の疾患はさまざまです。肝臓や腎臓、肺、心臓などの臓器疾患をはじめ、内分泌障害、電解質異常、ビタミン欠乏症、低血糖などでも、せん妄が起こります。

 

 

【脳に原因がある場合】

脳炎や髄膜炎などの感染症、脳梗塞などの脳血管障害、頭部の外傷、頭蓋内膿瘍・腫瘍、てんかんなどがあります。

 


 

脳に原因がある場合 てんかん、感染症(脳炎、髄膜炎など)、脳血管障害(一過性脳虚血発作、高血圧性脳症、脳梗塞、くも膜下出血など)、頭部外傷、頭蓋内膿瘍、脳腫瘍、脳動脈瘤、硬膜下血腫
薬物や毒物が原因になる場合 抗不整脈剤、抗生物質、抗コリン剤、抗パーキンソン病薬、抗けいれん剤、降圧剤、免疫抑制剤、抗腫瘍剤、ステロイド剤、ジギタリス製剤、アミノフィリン、インターフェロン、抗潰瘍剤、 消炎鎮痛剤、向精神薬、抗結核薬、アルコール類
一般的な疾患 低酸素脳症、低血糖、肝性脳症、内分泌障害(高インスリン血症、甲状腺機能亢進症・低下症、副甲状腺機能亢進症・低下症、下垂体機能低下症、アジソン病、クッシング症候群など)、電解質異常(脱水、アシドーシス、アルカローシス、血漿カルシウム・カリウム・ナトリウム・マグネシウム値の異常)、心臓疾患、うっ血性心不全、感染症、敗血症、腎機能障害、心肺不全、悪性腫瘍、貧血、アレルギー疾患、熱傷、熱中症、低体温、オルフェリア、カルチノイド症候群、ビタミン(B1・B2・B6・B12)欠乏症
その他 手術後の精神的不安など

 

 

 

 


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