老年期の精神疾患の治療と高齢者のメンタルケア

老年期の精神疾患の治療と高齢者のメンタルケア

 


 

老年期の精神疾患の治療

 

検査を行って診断がついたら、治療方針が立てられます。

 

老年期の精神疾患の治療の主体は薬物療法です。

 

 

脳循環・代謝改善薬は、脳内のエネルギー代謝や神経伝達機能を改善する作用がある薬で、主に器質性精神疾患に対して投与されます。

 

 

抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗躁薬、催眠薬などに分類される向精神薬は、機能性精神疾患、あるいは器質性精神疾患に伴う精神症状に対して用いられます。

 

 

 

心理面や環境面での悪影響を排除するために、さまざまな精神療法が行われることもあります。

 

精神療法には潜在的な心の問題を洞察させる精神分析療法や、自分の生い立ちや過去の行動を振り返って自己洞察をする内観療法、自分を卑下する傾向の修正を図る認知療法などがあげられます。

 

 

一種の自己催眠によって心身の緊張を解消する自律訓練法、絵画や彫刻といった創作的活動を通じて心の健康を回復させる芸術療法、あるがままの自分を受容させる森田療法などが用いられることもあります。

 

 

また、社会性の回復を目的とした精神科的なリハビリテーションが試みられるケースもみられます。

 

作業療法やレクリエーション療法がよく知られていますが、特に老年期の人に向けて考案されたプログラムがあります。

 

 

リアリティーオリエンテーションは、時間や周囲の状況といった現実認識をとり戻すために、治療者がことあるごとに現実認識を促したり、グループ学習を行う方法です。

 

 

再動機づけは、少人数のグループをつくって定期的に集まり、新開記事などから選んだ社会問題について話し合いをもち、外界への関心を高めさせるものです。

 

 

また、治療施設をコミュニティーとみなし、患者に通常の社会生活と同じような役割を与えて社会性の回復を促す環境療法や、自分の過去を振り返ることで、プライドの回復を図る回想療法などが行われるケースもみられます。

 


 

高齢者のメンタルケア

 

家族や周囲の人には、常に高齢者の心身の健康に対する配慮が必要です。

 

 

高齢者は、からだに変調をきたしていても症状に乏しいことが少なくありません。

 

認知症などの場合、症状をまったく訴えないケースもみられるので、異変を見逃さないよう、十分に注意しましょう。

 

 

また、脳循環・代謝改善薬や向精神薬は副作用が起こりやすいので、その点も考慮しておく必要があります。

 

精神面でのケアとして、家族や周囲の人は、まずストレスをできる限りとり除く努力をしましょう。

 

 

認知症の場合、介護者にも大きな負担がかかり、患者と介護者との間に軋轢が生じるケースがしばしばみられます。

 

介護する環境を整えることも、重要なポイントです。

 

 

老年期にある人は、多くの経験を積んだ、いわば人生の先達です。

 

そして長年にわたって培ってきたライフスタイルは、そう簡単に変えられるものではありません。

 

 

まず本人の個性や長所を尊重することが大切です。それが、結果としてストレスの回避につながります。

 

 

心の変調をきたすと、しばしば失敗や迷惑行為を起こすケースがみられます。

 

そのようなときに、ただ頭ごなしにしかったり、なじったりすることは控えます。

 

おおらかな気持ちで受け止めて、きちんと対処しなければなりません。

 

 

老年期を豊かに過ごすためには、家族や周囲の人との協調がとても大きな力になります。

 

ただ、ときには家族だけでケアし続けることが困難になるケースもあります。

 

そのような場合には、保健所や福祉事務所、市区町村の福祉担当窓口などに相談してみましょう。

 

 

高齢者自身のQOL(生命の質、生活の質)の向上を第一に考えたケアを心がけることが、何より大切です。

 


 

老年期(高齢者)の人との接し方

 

老年期(高齢者)の人と接するときには、何よりもその人の生き方、人生観を尊重することが鍵になります。

 

コミュニケーションの基本として、年長者に対する敬意をもつという点があげられます。

 

 

相手のプライドを傷つけないように配慮することが、とても大切なのです。

 

心の病をもった高齢者との会話では、相手の心の状態を常に知るように努力し、ゆっくりと話を聞くようにしましょう。

 

 

認知症がある人に対しては、「そんなことをしては駄目」などと連呼しがちですが、かえってお互いのストレスを増加させるだけです。

 

高齢者が心身の健康を保つためには、趣味をもったり、軽い運動を習慣づけたりすることが大切です。

 

周囲の人は、高齢者が活動的に過ごせるように協力しましょう。

 

 

 


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