老年期の精神疾患の特徴

老年期の精神疾患の特徴

 


 

老年期には、さまざまな精神疾患が起こりやすくなります。老年期に現れやすい精神疾患は、器質性のものと機能性のものに大別できます。

 

器質性のものは、脳に障害があって精神症状を招いているケースです。

 

代表的な病態は、認知症とせん妄で、どちらも加齢と深い関係にあります。

 

 

機能性のものは、いわゆる内因性・心因性の精神疾患で、具体的にはうつ病などの気分障害、従来は神経症とよばれていた不安障害や身体表現性障害、統合失調症などを指しています。

 

 

老年期に精神面の有病率が高くなるのは、認知症性の疾患が増加するからです。

 

 

老年期の精神疾患の一般的な特徴としては、まず器質性と機能性の鑑別が難しいという点があげられます。

 

 

例えば、代表的な器質性精神疾患である認知症によって、機能性精神疾患に特徴的な幻覚や妄想、抑うつ、不安のほか、ちょっとした体調不良から重い病気にかかっていると思い込む心気症状などが引き起こされることが少なくありません。

 

 

一方、うつ病のような機能性精神疾患が、認知症を思わせる症状を示すケースもしばしばみられます。

 

 

もう一つの特徴として、老年期の精神疾患は、からだの健康状態や環境の影響が大きいという点があげられます。

 

加齢に伴って、からだの健康と心の健康のかかわりは、より密接なものになっていきます。

 

心の病気がさまざまな身体症状を引き起こしたり、悪化させたりすると同時に、からだの病気が、うつ病などの危険因子になることもあります。

 

 

また、高齢者は、家庭環境や社会生活に対して不満を抱いているケースが決して少なくありません。

 

そうした不満が心の病気の誘因となったり、精神症状の改善の妨げとなる場合もあります。

 


 

老年期のパーソナリティー

 

アメリカの心理学者であるライチャードらは、「Aging and Personalipy(1962)」のなかで、老年期の男性のパーソナリティーとして、次の五つのタイプを提唱しました。

 

一般論として、円熟型は引退後のサクセスフル・エイジングを獲得できる可能性が高く、最も安定した適応を示し、反対に外罰型と内罰型は、適応が難しいとしています。

 

あくまでも一つの類型として、参考にするとよいでしょう。

 

円熟型 mature

 

今までの生き方、そして現在の自己を受容する、非常に前向きなタイプです。

 

このタイプの人は、仕事からリタイアしても、日常生活において建設的です。

 

多趣味で多岐にわたる関心をもち、人間関係も豊富です。

 

ロッキングチェアー型 rocking chair

 

どちらかといえば他力本願的で、消極的な姿勢で自分の人生を受け入れているタイプです。

 

もともと仕事に縛られていないので、仕事などの責任から解放されたら、むしろ喜びを感じます。

 

高齢者として、周囲からいたわりを受けることに抵抗がありません。

 

防衛型 armored

 

老化に対してわき上がる不安を抑えようと、自己防衛機能をフルに働かせているタイプです。

 

仕事に対する責任感は非常に強いものがあります。

 

活動し続けることで若さを証明し、老年期に適応しようとします。

 

外罰型 angry man

 

今までの人生が思いどおりにならなかったことは、他人のせいだと非難、攻撃するタイプです。

 

自己防衛が非常に強く、ときに自己閉鎖的になります。

 

趣味などはあまりなく、死に対して強い不安や恐怖を抱いています。

 

内罰型 self-hater

 

外罰型と反対に、失敗に対して自責的になるタイプです。

 

受け身で、他者への関心が希薄です。

 

孤立しがちで、死は「労苦からの解放」としてとらえ、不安や恐怖を抱きません。

 

 

 


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