「やる気」を出す脳内物質と脳内ホルモン 【ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリン、オピオイド】

「やる気」を出す脳内物質と脳内ホルモン

 


 

「やる気」は、脳の中の側坐核という場所でつくられると考えられています。

 

そして、「やる気」を出すには、脳内物質とよばれるものが深くかかわっていることもわかってきました。

 

 

脳内物質には、神経伝達物質や神経活性ペプチドとよばれる多くの物質がありますが、とくに「やる気」に関係する脳内物質は、ドーパミン、セロトニン、アドレナリン、ノルアドレナリン、オピオイドなどです。

 

これらはいずれも意欲を高め、脳の働きやからだの機能を活性化させる働きをします。

 

 

たとえば、アドレナリンやノルアドレナリンは、恐怖や驚きを感じたときに分泌される、いわば「緊急時対策用」の物質です。

 

私たちのなかには、「火事場の馬鹿力」という言葉で表されるように、危機に直面したときに本領を発揮する人がいます。

 

これは、緊急時対策用の物質が気力を高め、脳とからだを最大限に覚醒させた結果なのです。

 

 

これに対し、ドーパミンやセロトニンは、もっと人間らしい情動や学習行為にかかわっています。

 

「より高く、より早く、より遠くへ」という、発展性のある意欲をわかせる物質です。

 

うつ病の人の脳を調べると、ドーパミンとセロトニンの量が健康な人よりずっと減っていて、「やる気」とこれらの物質の関係が注目されるようになっています。

 

 

また、β-エンドルフィンに代表される脳内ホルモン様物質のオピオイドは、本来脳が不快と感じる刺激を中和する働きがあります。

 

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脳内モルヒネ物質(β-エンドルフィン)

 

脳内モルヒネ物質(β-エンドルフィン)

 

俗に、脳内モルヒネとよばれる物質は、細かく分類すると20種にもなります。

 

もっとも作用が大きく、研究が進んでいるのはβ-エンドルフィンです。β-エンドルフィンは、モルヒネによく似た物質で、脳の中でつくられます。

 

ふだんはごく微量しか存在しませんから、その生理的な意義は軽視されがちでした。

 

しかし、鍼麻酔を打つとβ-エンドルフィンの脳内分泌が高まることが知られ、その作用に驚きの目が向けられるようになりました。

 

 

今では、生体が肉体的な苦痛や精神的な苦しみを感じたとき、その刺激を脳の中で緩和して、生体が必要以上に苦しまないようにするのがβ-エンドルフィンの作用だと考えられています。

 

 

一方、快感を感じることで興奮する神経をA10神経といいます。A10神経は、脳幹から視床下部を通って大脳皮質へとつながっています。

 

つまり、原始的な脳も哺乳類に共通する脳も人間的な脳も、このA10神経によって快感を感じるようになっているのです。

 

そしてA10神経が快感を感じると、それらの脳は活性化して、活気と創造性にとんだ「やる気」が生まれるのです。

 


 

「やる気」をつくる脳内座標

 

「やる気」をつくる脳内座標「やる気」は脳の中心部の近くにある側坐核という場所でつくりだ出されると考えられています。

 

ここは情報の交差点ともいうべき視床下部の近くで、人間らしい抽象的なイメージや論理的な思考といった高次の情報と、性欲や食欲をはじめとするもっと動物的な欲望から起こる生存のための情報など、さまざまな種類の情報が行き交う場所です。

 

脳の構造は、大きく分けて次の3層に分類されます。

 

  • 非常に原始的な脳(脳幹の延髄、橋)
  • 哺乳類に共通する脳(視床下部、大脳基底核、大脳辺緑系)
  • 人間固有の脳(大脳新皮質:前頭葉、側頭葉、頂頭葉、後頭葉)

 

「やる気」は、哺乳類こ共通する脳に属する場所で生まれますが、ここは原始的な脳にも人間固有の脳にも神経がつながっています。

 

だからこそ、本能的な生存のための欲求が「やる気」の発火装置になったり、人間しか抱けないような抽象的な将来への夢が「やる気」を引き出すということになるのです。

 


 

神経伝達物質の分泌量が多すぎても、かえって「やる気」が出なくなる

 

神経細胞と神経伝達物質

 

脳の中に数百億個もある神経細胞は、神経伝達物質とよばれる化学物質を使って、複雑な情報交換をしています。

 

軸索はほかの神経細胞の樹状突起に密接していて、神経伝達物質はここのシナプス間隙で働くといわれています。

 

 

軸索には、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が貯蔵されていて、神経に刺激が流れると、それらの物質が放出されます。

 

そして樹状突起には、その物質をキャッチして、軸索からの情報を読みとるレセプターがあります。

 

 

神経伝達物質は、基本的には意欲を高める方向に働きますが、これらの放出が過剰になると、興奮しすぎないようにレセプターの数を減らしていくことがあると考えられています。

 

神経伝達物質の分泌量が多すぎても、かえって「やる気」が出なくなることもあるわけです。

 

 

脳内物質の仕組み

 

脳の中にはたくさんの化学物質が存在することが知られています。

 

その多くは神経伝達物質(トランスミッター)で、アミノ酸類やアミノ酸の連鎖であるカテコールアミン類などがあります。

 

また、快楽物質、もしくは脳内麻薬(オピオイド)として注目を浴びているβ-エンドルフィンはペプチド類に含まれます。

 

 

神経伝達物質が作用するのはニューロン(神経細胞)の接合部であるシナプスです。シナプスは情報を送る側のシナプス前膜と送られる側のシナプス後膜、その間のシナプス間隙で形成されます。

 

シナプス前膜はニューロンの軸索終末にあり、シナプス後膜は細胞体にあります。

 

 

ニューロンの中で合成された神経伝達物質は終末にあるシナプス小胞に貯蔵されます。ここに何かの電気信号が伝わってくると、シナプス小胞が開いて神経伝達物質が放出され、これらはシナプス前膜を通り、シナプス間隙を横切ってシナプス後膜に達します。

 

シナプス後膜には特定の神経伝達物質とだけ結合する受容体とよばれるものがあります。

 

この二つが無事結合すると、シナプス後膜には新しい電気信号が生じます。こうして情報が伝わっていくのです。

 

 

伝達を終えた神経伝達物質は、元のシナプス小胞に回収されるか酵素によって壊されます。この機能によって、情報が際限なく流されることを防いでいるのです。

 

脳の中には神経伝達物質とよく似た物質で、血液を通って情報を伝えるホルモンなども存在しています。

 

 

神経伝達物質はどこにあるの?

 

人間の場合、脳の中のニューロンの数は140億個といわれ、ニューロン1個につき数百から数千あるシナプスの数は脳全体では数百億から数千億にのぼると推定されています。このシナプスの一つ一つで情報の伝達が行われているのです。

 

神経伝達物質はニューロンの中で合成されますが、一つのニューロンが多種類の物質を合成するわけではありません。

 

 

例えば、コリン含有ニューロンはアセチルコリンを、ドーパミン含有ニューロンはドーパミンを合成し、それを放出して情報伝達を行います。これらのニューロンは脳の中の決まった領域に分布し、そこからさらに特定の領域に軸索を伸ばしています。

 

ドーパミン含有ニューロンの群れの一つであるA9神経核は脳幹の中の黒質に分布し、運動の調節を行う線状体などの組織につながって作用します。

 

 

一方A10神経核は、腹側被蓋(ふくそくひがい)とよばれるところに分布し、そこから情動にかかわる大脳辺緑糸や創造にかかわる前頭連合野などに軸索を伸ばして作用します。

 

また、睡眠を促す物質の一つであるウリジンを分泌するウリジン含有ニューロンは脳幹に分布していて、大脳皮質の生理機能を抑制するニューロンに作用して眠りを起こさせるといわれています。

 

さまざまな脳内物質の種類

 

脳内物質は、種類、働きともにバラエティーに富んでいます。急激に作用するものもあれば、ゆるやかに働くものもあります。いずれにしても、重要な身体活動にかかわる情報を的確に伝える役割を担っています。

 

【アセチルコリン】
80年以上前、数ある神経伝達物質のなかで最初に発見されたものです。

 

正常な知的活動に欠かせないといわれ、アルツハイマー型認知症の患者ではアセチルコリンが不足していることがわかっています。

 

【γ-アミノ酪酸(GABA = ギャバ)】
γ-アミノ酪酸は、反射活動を抑制する物質で脊髄後角に高密度で存在します。

 

【ドーパミン】
ホルモンの生成、運動の調節、認識や情動にかかわるなど、いくつかの異なる働きが確認されています。筋肉のこわばりやふるえを主症状とするパーキンソン病患者にはドーパミン含有細胞がほとんどないことがわかっており、この病気の治療にはL-ドーパ(ドーパミンの原料)が用いられます。

 

【ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)】
不足すると記憶障害などが起こることから、記憶や学習にかかわっていると考えられています。

 

【セロトニン】
痛みの抑制や入眠、止血を促進する作用、腸の運動などにかかわっています。

 

【エンドルフィン】
下垂体から分泌される物質で、麻酔や鎮痛の作用があり、一番分子量の大きいβ-エンドルフィンにはモルヒネの数倍の鎮痛効果があります。

 

1976年に発見され、その働きからモルヒネ様物質ともいわれています。がんや分娩での痛みの緩和、ランナーズ・ハイなどに関与します。

 

【エンケファリン】
1975年に発見されたアミノ酸数がわずか5個のモルヒネ様物質です。

 

【サブスタンスP】
11個のアミノ酸からなる神経ペプチドで、痛みを伝達する物質です。

 

【ホルモン】
血液を通っで情報を伝える物質です。下垂体から分泌されるホルモンは、内分泌腺などを刺激して、副腎皮質ホルモンや性腺ホルモンなどを分泌させます。

 

 

また、脳には体内でつくられたホルモン(性腺ホルモンなど)を感知する機能があり、これによって体内の環境の変化に対応することができます。

 

 

走れば快感「ランナーズ・ハイ」

 

マイペースでジョギングをしていると、しばしば頭のなかが空っぽになり、からだが軽くなって何ともいえない心地よさを感じることがあります。「ランナーズ・ハイ」とよばれる状態で、走っているうちに脳内モルヒネが分泌され、陶酔感をもたらすと考えられています。

 

ランナーズ・ハイのような状態は、ジョギングだけでなくほかのスポーツやダンスなどでもみられます。ただし、ペース配分やほかの選手とのかけ引きを考えながら行う競技では得られにくいことがわかっています。

 

心地よさや陶酔感を感じるのは大脳辺緑系ですが、タイムやレース展開などを考えるのは大脳新皮質で、大脳新皮質が働いている間は大脳辺緑系の働きが抑制されてしまうからといわれています。

 

 

 


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