ピーターパン人間と崩壊した従来の家庭像

ピーターパン人間と崩壊した従来の家庭像

 


 

アメリカの心理学者ダン・カイリーは、思春期のアメリカの少年たちがピーターパン人間化する特徴として、潜在離婚型の父母の不和をあげ、ピーターパン人間の最大の原因は、男性の母親に対する過度の愛着(マザー・フィクセイション)にあるとしています。

 

 

父親は、平日は仕事以外にも外で酒を飲んだり、休日はゴルフに出かけ、無視された母親は冷たく心を閉ざし、互いの溝は深まります。

 

生活はともにしているものの、夫も妻も孤独で相手のぬくもりを感じられません。こうして父親は酒とほかの女性に救いを求め、母親は息子に救いを見いだすようになります。

 

 

家庭のなかは冷えきり、息子は子どもらしさを失い、男らしいといわれるようにふるまうことで夫代わりの役割を務め、母親の要求にこたえようとするというのです。

 

家族の話に耳を傾けず不在がちな父親、孤独で感情のコントールができない母親、そして母親の夫代わりをする息子、この三者がそろったときに、ピーターパン人間ができあがるとしています。

 

 

家庭の崩壊は日本でも同じです。

 

『モラトリアム人間の時代』著書の小此木啓吾氏は、モラトリアム化が進む日本の家族の特徴を二つあげています。

 

 

一つは、家族がまるでホテルの住人のように個別にふるまい、母親は単なる支配人の役割をするだけの「ホテル家族」です『家庭のない家族の時代』。

 

一緒に生活しながら、誰もが外を向いて暮らしており、話し相手がほしくなると家族ではなく外の誰かと電話でおしゃべりをしたり、それぞれが好きなときに食事をとるような家族を指します。

 


 

もう一つは、子どもを幸せにすることに最大の生きがいを見いだすような家族です。

 

男の子は父親がなれなかった英雄に、女の子は母親には現れなかった王子様にみそめられる期待をかけられます。

 

 

母親は、受験勉強に苦しむ息子や娘に同一化してその成否に一喜一憂し、父親も子どもによりよい暮らしをさせることが人生の目標となります。

 

子ども本位の暮らしが、生きがいなのです。

 

そして、子どもたちは、自分のためというより、むしろ父母の期待にこたえて、塾に通ったり習い事をしたりして、親以上の何かになろうと努力します。

 

 

しかし、このような親子の関係は、一方で母親との異常な結びつきをつくりだします。

 

やがて息子に恋人ができても、実はその女性は、母親を離れると同時に得られた新しい代理母である場合が多いのです。

 

 

最近の嫁と姑の争いは、かつての姑による嫁いびりのようなものではなく、マザコン息子を奪い合う二人の母の主導権争いであるとさえいわれるようになりました。

 

 

 


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