ピーターパン症候群とモラトリアム

ピーターパン症候群とモラトリアム

 


 

日本では1977年に小此木啓吾氏が、その著書『モラトリアム人間の時代』のなかで、ピーターパン症候群と同じように、なかなか大人になれない若者たちを、「モラトリアム(大人になることへの猶予期間)の状態にいる若者」とよびました。

 

 

モラトリアムとは、もともと支払い猶予期間を意味する経済用語ですが、アメリカの精神分析学者エリクソンが、アイデンティティーの確立が遅れたために社会的自立に向かわずに猶予期間にとどまろうとする若者たちを指して用いたものです。

 

 

小此木氏は、モラトリアムにある人間の心理を、

  1. まだ、いかなる職業的役割も獲得していない
  2. すべての社会的かかわりを暫定的・一時的なものとみなしている
  3. 本当の自分はこれから先の未来に実現されるはずで、現在の自分は仮の姿にすぎない
  4. すべての価値観・思想から自由で、どのような自己選択もこれから先に延期されている状態にある
  5. したがってすべての社会的出来事に当事者意識をもたず、お客様意識しかもとうとしない

と定義しました。

 

こうしたモラトリアム状態は、本来大人になるための準備期間でしたが、25歳を過ぎても30歳くらいまでは、モラトリアムの状態を保ち続けようとする青年が目立つようになったと指摘したのです。

 


 

そしてピーターパンの現実を、「家庭にいれば両親の不和に巻きこまれ、社会に出れば自分の居場所が見つからない。

 

男らしくなろうと思っても、男らしさのモデルがない。

 

 

スーパー・ウーマンを目指す自立志向の女性たちに脅かされる。

 

みんなと同じように流行商品を追い求めるか、みんなと同じお定まりのコースでワーカホリックになる以外に、社会との絆もない」と分析しました。

 

 

 


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