吃音の治療と予防 【家庭での対処や病院や児童相談所の治療】

吃音の治療と予防

 


 

吃音の治療

 

話すことへの緊張をやわらげる

 

家庭での吃音(どもり)の対処

 

吃音が始まったばかりの時期に、医師は保護者に対して、言葉を交わすときの注意や、どもらなくてすむ環境づくりのための助言をします。

 

【子どもとの会話】

親はゆっくり話し、どもっても言い直しさせたりしないで、子どもが話したいことを先取りして急がせないようにします。

 

「幼稚園で何があったの、先生に怒られなかった?」などと次々に質問しないことです。

 

話しかけるときは「外に行こうね」「靴を履こうね」というように一つの会話を短くして、決して「外に行くから、洋服を着て、早く靴を履いて……」と続けないことが大切です。

 

【環境づくり】

話すとき以外でも、子どもが日ごろから緊張しない関係をつくっておかなければなりません。

 

どんなに忙しくても、子どもが話しかけてきたときには「なるべく早く行ってお話を聞くからね」と答えるようにします。

 

 

人に迷惑をかけるようなことや危険なことは、もちろん注意しますが、大切なのは、子どもが親から愛情を与えられていると実感できることです。

 

遊ぶときは子どもの自主性を尊重します。子どもの意思に沿えない場合は、どうしてなのかをわかるように丁寧に説明しましょう。家庭での対処のポイントは、親が怒ったりイライラしない環境をつくることにあります。

 

【遊び道具を使う】

遊び道具を使って子どもと話し合うのも効果的です。

 

おもちゃを使って「車が来ますよ」「はーい、オーライ」「ぶつかるよ、気をつけて」などと話しかけましょう。

 

指人形で遊ぶと、子どもにとって人と直接しゃべっている感じがないので、どもらないで日常の言葉を話すきっかけになります。

 

このほかに、一緒に歌を歌ったり、リズムをつけて話したり、階段を上るときも「よいしょ、よいしょ」とリズミカルに声をかけましょう。

 

ほかにもボール投げや縄とびをするときに調子をつけて話すなどの方法があります。

 

【下の子ができてどもり始めたら】

下の子のまねをして「抱っこして」と言ったら、抱いてやりましょう。

 

こうした子どもの要求を聞いてやるのは、決して悪いことではなく、親の愛情を示す機会なのです。

 

赤ちゃんのころの抱かれている写真を見せるのも効果的です。自分も小さいころは抱かれていたことがわかり、兄や姉としての自覚を促すきっかけになります。

 

【吃音治りかけのときの注意】

吃音が治るプロセスにも波があります。どもる間隔が開いてくれば好転している証拠です。

 

子どもは、疲れたり病気をしたりするとコントロールがうまくできずに、軽くなった吃音がひどくなったりします。

 

眠かったり、寝起きのときも同じです。じっくり待ってから話しましょう。

 


 

病院や児童相談所の吃音の治療

 

病院や児童相談所での吃音の治療は、診断と並行しながら行いますが、治療指針は家庭での対処と基本的に変わりません。

 

【遊戯治療】

小さい子どもには、言葉のトレーニングはありません。セラピストは遊びを通して、子どもの好みや主張を理解しながら治療します。

 

子どもの意思を尊重して信頼関係をつくり、治療を進めます。

 

 

目的は、子どもが親や家族、まわりの人に自信をもって話せるようになることです。

 

保護者にも治療のプロセスに参加してもらい、子どもが親に受け入れられているという自信をもてるようにすることもあります。

 

【言葉の治療】

吃音が重くなると、どもる音や言葉の治療が必要になります。

 

どもることを意識して苦しんでいる子どもや、習慣的にこの場面ではどもると緊張してしまい、話すことにおそれを抱いている子どもには、「治るから心配はいらないよ」と話しかけます。

 

医師は、悩みを共有しながら子どもとの信頼関係を築いて「上手に話せるように一緒に頑張ろう」と治療していきます。

 

 

よく行われている治療に、本の音読があります。音読では、どもらない子どもが比較的多いからです。

 

まず、音読して本に書かれている文章を記憶させます。次に、覚えた内容を話させます。さらにセラピストが話す言葉をまねさせます。

 

スムーズに本の内容を話せるようになると、どのような語音になると緊張したり、言いにくいのかわかるようになり、具体的な治療法が明らかになっていきます。

 

 

このほかに、DAF(遅延聴覚フィードバック装置)を使って自分の声を遮り、どもっているという意識を遠ざけながら本を音読していく治療などもあります。

 


 


 

吃音の進展と治療法

 

第1層と第2層までの吃音は、専門家の意見を参考にして、話す環境を変えるだけで治るケースがほとんどです。

 

子どもが吃音を自覚するようになると、慢性化します。このころに治療を始めると、かなり早く治すことができます。

 

進展層

目安となる症状

本人は症状をどう受けとめているか

吃音の程度

困難になること

第1層

●音節と語音の繰り返しや引き延ばし
●一過性で波がある

●文頭の発語
緊張時や興奮時、長い話をするときにどもりやすい

●いつでも自由に話そうとする
●どもっている自覚がないため、話そうとする意欲は妨げられない

第2層

●音節と語音を緊張して繰り返したり長く引き延ばして、一層緊張する
●ブロック
●随伴症状

●話し言葉の主な部分
●どの場面でも同じようにどもるようになる

●どもっていると感じているが話そうという意欲は低下していない
第3層

●第2層の症状にふるえが加わる
●話し方に特異なくせが出る(どもった言葉の置き換えなど)

●話しにくい語音がある
●どもる場面や話しにくい場面を意識して、話すことが困難になる

●どもることを欠点と自覚する
●症状を嫌悪してどもったときにイラ立ち、フラストレーションがたまる

第4層

●音節と語音の繰り返しと引き延ばしは減る
●話すことを回避するようになる
●くせの固定化

●特定の語や音が特に出にくくなる
●苦手な場面を意識するだけで緊張する

●深刻な問題ととらえて、性格にも影響が出る
●どもることへのおそれや話すことへの困惑が強まる

 


 

吃音の予防

 

緊張しないで話せる環境づくりを

 

吃音の予防は、子どもが安心して楽しく話せる環境を整えることです。

 

子どもが緊張しなくてすむ親子関係や人間関係をつくっていくことが大切です。

 

 

吃音から、話すことを意識しすぎた子どもが消極的になってしまったり、人と話せなくなって苦しむようになるのを防がなければなりません。

 

楽しく話せる環境があれば、どもることは少なくなるものです。早い時期の治療で、ほとんどのケースで吃音は解消できます。

 

 

子どもをしかったり、親の勝手な判断で子どもの言葉づかいを直そうとすると、ますます症状を悪化させることがあります。早めに専門医に相談しながら、親子が一緒になって治していきましょう。

 

 

 


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