家族のなかでの子どもの役割

家族のなかでの子どもの役割

 

 

機能不全家族のなかでアダルトチルドレンは、本来の子どもとしての役割とは別の役割を果たします。

 

アダルトチルドレンが生き延びていくために発達させる役割は次のようになっています。

 

ヒーロー(英雄)

勉強やスポーツなどで好成績を上げて、自分の家族が周囲から価値ある家族にみえるようにする子どもです。

 

通常は長男、長女に多くみられます。

 

 

スケープ・ゴート(犠牲の山羊)

問題を起こして、家族にとって困り者の役となります。

 

家族が抱えている問題を自分の問題へと転換し、いわば外部に暴露するかたちをとります。

 

子どもの起こした問題に対処するため、とりあえず家族は結束せざるをえないので、家族の絆をとり戻させる役割を果たします。

 

こうした行動は、本人が無意識にやっている場合が多いようです。

 

 

ロスト・ワン(いない子)

とにかく静かで文字どおり「忘れられた子」です。

 

一見周囲に対して無関心にみえますが、本当に無関心なのではなく、周囲の状況に巻き込まれないようにするために、自分の世界を守っているのです。

 

 

プラケーター(慰め役の子)

家族の息苦しい雰囲気を救うために、状況を素早く読みとって修復しようとする仲介役をする子どもです。

 

家族の問題を最小限に抑えようと調停役を果たします。

 

 

クラン(道化役の子)

冗談を言ったり、わざと失敗したりして、家族の緊張と苦痛をやわらげようとする子どもです。

 

この役割をもつ子どもは、家族内の道化者としてふるまうことで、家族の抱えている問題を忘れさせようとします。

 

 

イネイブラー(支え役の子)

このタイプは、いつもまわりの人のことを優先して考え、他人の世話をしたがります。

 

子どもたちのなかの一番年上の子どもが、この役につくことが多いようです。

 

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子どもたちは過酷な親子関係、家庭状況のなかで、以上のようなさまざまなかたちで、それぞれ役割を担います。

 

一人で一つの役割を担うこともあれば、一人でいくつもの役を果たすこともあります。

 

 

クリントン大統領の事例でいえば、英雄と慰め役、支え役の三つの役割を果たしていたようです。

 

きょうだいが多いとそのなかで役割分担ができるという指摘がありますが、日本のように少子化が進んでいる場合、実際にはいくつもの役割を一人で引き受けることが多いようです。

 

 

役割を担っている子どもたちに共通しているのは、家のなかの雰囲気や母親の顔色、父親の機嫌などから他者の欲求を読みとり、自分の欲求よりも優先してしまうことです。

 

問題行動を起こすスケープ・ゴートタイプの子どもでさえも、本人自身は意識しないままに同じような動機で行動しています。

 

 

例えば、自分が暴れたり、非行に走ることで、親の関心を引きつけ、不仲で離婚の危機にさらされていた両親の関心をそらすといった事例です。

 

ただし、本人は、自分の欲求は棚上げにしたまま他人の欲求を自分の欲求のようにして生きているわけですから、「私」は存在しません。

 

まさに共依存関係といえます。

 

 

離婚を回避するように努めるのは両親の問題であるはずなのに、親たちが自己処理できないため、代わりに子どもが回避のための行動をとるわけです。

 

家族のなかで、いつもそうした役割を果たしていると、その役割が身についてしまい、どの問題に対しても同じパターンの解決策をとるようになってしまいます。

 

 

 

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