心の問題が引き金となる小児心身症 【対応や治療法は個々に違ってきます。】

心の問題が引き金となる小児心身症 【対応や治療法は個々に違ってきます。】

心の問題が引き金となる小児心身症

 

 

 

心の問題が引き金となる小児心身症

 

子どもの各発達段階でのメンタルケアがうまくいかないと、心の問題が引き金になって身体病を引き起こす小児心身症になることがあります。

 

小児心身症とよばれるものには、次のようなものがあります。

 

気管支ぜんそく

 

主に作用するのはアレルギー反応ですが、アレルギー自体がかなり心因が関与していると考えられています。

 

進級やクラス替えといった日常生活の節目に敏感に反応し、ぜんそくを起こす子どもが多いことが知られています。

 

 

多くの薬剤が開発されていますが、ぜんそくはいっこうに減らず、むしろ増える傾向にあります。

 

長引く場合は、身体的な治療に加えて心の治療も必要になってきます。

 

起立性調節障害

 

成長過程に起こることが多く、立ちくらみやめまい、立っていると気持ちが悪くなったり、腹痛などの症状が出ます。

 

脳貧血があれば昇圧剤を、自律神経失調症の症状が強ければ自律神経機能調整剤をというように、症状に対応した薬を用います。漢方薬が合うこともあります。

 

 

過呼吸症候群

 

呼吸が急に速くなって苦しくなり、不安感や手足のしびれなどを伴います。

 

発作症状は30~60分ほど続きますが、生命の危険はなく周囲が落ち着いて対処することが大切です。精神安定剤で改善する例が多いようです。

 

 

過敏性腸症候群

 

下痢が主症状で、おなかの弱い子の心身症として現れます。

 

1日に何度も下痢や軟便をする傾向がみられます。心理的要素で起こることをまわりの人が認めないと、治療しにくい病気です。

 

 

消化器症状には反復性臍疝痛(さいせんつう)もあります。へそを中心にした腹痛を繰り返し訴えることが多く、便通異常はあまりみられません。

 

特に治療しなくても治るケースが多いようです。

 

 

神経性食欲不振症

 

拒食症、思春期やせ症ともいいます。

 

若い女性に多い病気で、最近は500人に1人の割合で起こるといわれます。

 

早期の対応が必要ですから、心療内科や精神科を受診しましょう。

 

 

チック

 

顔などの筋肉が、自分の意思と無関係に繰り返し動いてしまう習癖で、心理的な緊張が引き金になって起こることがあります。

 

一過性か慢性か、単一型か多発型かなど現れ方は多様です。

 

 

心因性発熱

 

検査の結果、身体的な病気が何もみつからなくても、長期にわたって発熱が続く状態です。

 

関節痛などを伴うこともありますが、発熱以外の症状は現れないことが大半です。

 

 

ヒステリー

 

心理的な原因で歩行障害や視力障害が起こります。

 

心因性の病気であることを本人が自覚すると、症状は急速に改善します。

 

 

空気嚥下症

(えんげしょう)

 

必要以上に空気を飲み込むことで、悪心やげっぷ、膨満感、食欲不振などが起こります。

 

心理療法により改善する例が多くみられます。

 

 

高度肥満症

 

適切な食事療法や運動を続けてもなかなか改善しない肥満は、心理的要因を考える必要があります。

 

 

夜尿症

 

多尿型、膀胱型、混合型、正常型に分けられます。大半が自然治癒しますが、親の悩みは深刻です。

 

もらす時間や、尿量、頻度などをチェックして小児科、心療内科、児童精神科、泌尿器科などを受診しましょう。

 

 

小児心身症は、アレルギーと並んで今後も増える傾向にあるといわれています。

 

塾や習い事など、大人顔負けのびっしりつまったスケジュールで動いている子どもも少なくありません。

 

 

多忙と形容される現代の子どもの生活は、夜型になっていることもあって、自律神経のバランス」が乱れ、体調が狂いやすくなっています。

 

生活のリズムを乱さないようにすることが大切です。

 

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発達の各段階での小児心身症

 

小児心身症は心の問題を原因として発症する病気で、種類は多彩ですが、子どもの年齢や性別によって一定の傾向や特徴があります。

 

症状は子どもによって異なり、対応や治療法は個々に違ってきます。症状が出ている身体病の治療を基本に、精神科的なケアが加わります。

 

 

明らかに心因性と思われる病気から、気管支ぜんそくのように、身体病なのか心因性なのか区別がつきにくいものもあります。めにみえる症状は身体病と変わらなくても、診断や治療には心理的な取り組みや配慮が必要となります。

 

症状が出たら、まず、かかりつけの小児科医を訪ねましょう。必要に応じて、児童精神科や心療内科などを紹介してくれます。

 

 

乳児期の心身症

 

乳児期では外界との接触もあまりなく、身体的にも心理的にも症状は単純で、一過性であることが多いものです。

 

ただし、心身が未熟で未分化であるため、全身的な症状になりやすいともいえます。

 

発育が抑制されたり、夜泣きや嘔吐、反復性臍疝痛(さいせんつう)などがみられることがあります。

 

 

幼児期の心身症

 

幼児期では、保育園など外界との接触が始まります。

 

第一次反抗期でもあり、精神的な発達も著しく、体質的なものも影響してくるため、心身症の現れ方は複雑になってきます。

 

反復性臍疝痛や自家中毒(周期性嘔吐症)を年に何回となく繰り返す子どもがいます。

 

 

自家中毒は幼児期から始まり10歳ころまでには治まる体質病ともいわれますが、心身の鍛練によって早く収束できます。

 

なりゆきまかせにしていると症状が長引くこともあります。排泄に関するトラブルも多く、神経性頻尿、夜尿症、遺尿症状なども多く現れます。

 

 

小学校低学年の心身症

 

小学校入学から3年生くらいまでの心身症は、幼児期と同じで、治療しやすいものが多いようです。

 

症状としては腹痛や頭痛、夜尿症、チック、神経性頻尿、気管支ぜんそく、自家中毒などがあります。

 

 

登校拒否が起こることもありますが、小学校低学年の登校拒否は症状が軽く、適切な指導で改善することが多いとされています。

 

 

気管支ぜんそくも心身症としてよりも身体病としての要素が強いようです。

 

 

小学校高学年から思春期の心身症

 

4年生くらいになると広い意味で前思春期に入り、心身症の範囲も広がってきます。

 

現在、増加している心身症の多くはこの時期に始まるもので、将来的にも増えていくと考えられています。

 

 

症状は単に腹痛や頭痛というものではなく、大人のように複雑になってきます。

 

第二次反抗期に入り、心身ともに変動が大きく、依存から自立を図る時期にあたるため、変化する心身と外部環境への適応からくるストレスで心身症が起こりやすくなります。

 

 

この時期の心身症の特徴は、循環器など特定の器官に起こることです。

 

例えば循環器では起立性調節障害、呼吸器では過呼吸症候群などです。思春期特有の心理的な動揺がからんでくるため、改善、解決は簡単ではありません。

 

 

女子の心身症のなかで意外に多いのが毛髪抜去症です。

 

大人でもイライラすると知らず知らずに髪の毛をむしっているものですが、学校に行きたくないばかりに丸坊主になるまで髪の毛をむしっては口に入れていたという症例もあるくらいです。

 

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心因で起こりやすい問題と誘因

 

 

起こりやすい問題

誘因となりやすい事項

 

乳児期

幽門けいれん、下痢、全身の発育障害 母親のイライラした感情、几帳面すぎる育児態度(授乳、離乳、排尿・排便などの訓練)、愛情の欠乏、放任

 

幼児期

嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲不振、拒食、憤怒けいれん、頻尿、夜尿、吃音、気管支ぜんそく、指しゃぶり、性器いじり、反抗 弟妹の出生、嫉妬心、競争心、子どもの間の玩具の取り合い、感情的育児態度、両親の共働き、愛情の欠乏

 

学童期

頭痛、嘔吐、腹痛、関節痛、頻尿、めまい、足の痛み、気管支ぜんそく、チック、吃音、爪かみ、不安障害、強迫性障害、登校拒否、転換ヒステリー反応 きょうだいとの関係(嫉妬心、競争心)、親子関係(厳しいしつけ、甘やかし)、友人関係、教師との関係、学業、おけいこごと

 

思春期以降

起立性調節障害、気管支ぜんそく、心臓神経症、腸管運動失調症、神経性食欲不振症、吃音、自慰、登校拒否、不安障害、強迫性障害、転換ヒステリー反応、非行、自殺 個人の能力(学力、体格、体力、運動能力)、身体的欠陥、親子関係、友人関係、教師との関係、異性関係、進学の問題、人生観、社会観

 

 

子どもにみられる心身症は多種多様です。症状や病気の現れ方は年齢によって異なりますが、低年齢の子どもはストレスに対して全身的な反応を示しがちです。

 

また、ストレスが原因で精神的な嗜癖(しへき)が身についてしまうことがあります。

 

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小児心身症と環境要因

 

子どもの心身症には、起こりやすい季節や生活のパターンがあります。

 

季節と心身症

 

心身症は季節との相関関係が大きいといわれます。

 

季節と関係した心身症で代表的なものに五月病があります。

 

新入生が受験の難関を突破した虚脱感からうつ状態になることをいいますが、登校拒否が初めて起こるのも連休明けの5月が多いといわれています。

 

進級や進学、担任交代やクラス替えなど、学校生活における変化が大きな時期でもあります。

 

 

新緑の季節は気温や湿度の変化が大きいことも一因です。

 

自律神経がゆさぶられ、心身とも疲れやすくなり心身症が出やすくなります。

 

 

梅雨時も心身症が多くなります。湿度の高い気候は、自律神経失調症の子どもにはとりわけ苦痛が大きいようです。

 

次に体調を崩しやすいのは、夏休みですっかり生活のリズムが狂ってしまい、なかなか元に戻らない9月です。

 

 

9月を乗り切ると、翌3月の学年末までは心身症の受診者は減ります。

 

気温・湿度が低いと自律神経が緊張状態になり、心身症の症状が出にくいためです。

 

 

生活パターンと心身症

 

生活のリズムが順調なときは自律神経も安定し、心身症はもちろん、ほかの病気にもかかりにくいものです。

 

からだができあがった大人なら生活のリズムが乱れてもある程度無理がききますが、成長期で自律神経も安定していない子どもにとっては、生活のリズムを整えることが特に重要になってきます。

 

ポイントは早寝・早起き、快食・快便・快眠を保つことです。

 

 

家族関係と心身症

 

育児には父親と母親がバランスよくかかわることが大切です。

 

ある臨床医の統計では、小児心身症受診者のうち、実質的な父親不在が約20%もありました。

 

小児心身症になる子どもは、父親との接触が少なかったり、母親が支配的であることが多いといわれます。

 

 

特に母親の過保護や過干渉は問題になることが多く、神経性食欲不振症のように身体症状が前面に出ている心身症の場合には、母親も専門医の指導を受けることで、子どもの症状が改善されることがあります。

 

 

また、幼児期の子どもにとって、きょうだいの存在は社会性や情緒、認知能力などの面でも大きな役割を果たすことが強調されるようになってきました。

 

第二子の誕生によって始まるきょうだい関係は、第一子にとってストレスになることもあります。

 

子どもの立場と年齢に応じた親の対応が大切になります。

 

 

第二子の誕生により、一般に第一子である幼児は年長になるほど、気分や感情面での動揺、生活習慣の乱れ、退行現象、母親への甘えなどの依存行動の増加を示すことが多いといわれます。

 

一方、親の対応は、第二子の誕生によって上の子に対する制限や要求が増し、しかる回数も増える傾向が認められます。

 

 

現にきょうだい喧嘩などでも、上の子はより多くしかられたり我慢を強いられると感じています。

 

よいきょうだい関係をつくるには、親にとっての平等でなく、子どもたちに平等感をもたせることが肝要です。

 

 

心身症になりやすい親子関係

 

小児心身症の親の性格傾向として、小心で内向的、消極的、依存的、情緒未熟、自信欠如などが指摘されています。

 

特に母親に特徴的な性格として、完全欲、自己中心的傾向が強いといわれます。

 

 

子どもも親と似たような傾向があり、気が弱い、心配性、引っ込み思案、情緒発達未熟、無気力、依存的、わがまま、対人緊張などが多くみられます。

 

心身症の子どもは、父親との接触が少ないケースが多いようです。家庭での父親の存在感が希薄で母親に依存しすぎると、どうしても過保護になる傾向があります。

 

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