集中力を生み出す脳の部位と脳内物質

 

集中力を生み出す脳の部位と脳内物質(神経伝達物質)

 

脳の中で、覚醒や睡眠といった意識のレベルをコントロールしているのは、脳幹網様体とよばれる部位です。脊髄と大脳の中間に位置する延髄、橋(きょう)、中脳、間脳を脳幹といい、そこに点在する神経線維が束になっているところを網様体といいます。

 

外界からの刺激は、いったんここに集められ、その信号が大脳に送られることにより、意識が保たれたり注意力が維持されたりすると考えられています。

 

集中力とは、この脳幹網様体が活発に働き、意識や注意を保っている状態で生まれる現象といっていいでしょう。

 

脳幹網様体に働きかけて覚醒させる脳内物質(神経伝達物質)としては、セロトニン、ノルアドレナリンなどがあります。また、カフェインなどの精神刺激薬も同じような働きをします。

 

 

また、抗ヒスタミン薬を服用すると集中力や判断力、作業能率が低下することがあります。

 

ヒスタミンといえば、花粉症にみられる鼻のムズムズ感や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの間接的な原因として「悪玉」のようにみなされてきた物質です。このため、花粉症には抗ヒスタミン薬が、消化性潰瘍にはヒスタミン受容体措抗薬が用いられ、ヒスタミンの働きを抑えていました。

 

しかし、ヒスタミンが脳の中で注意や覚醒をうながす重要な役割を果たしていることがわかっています。

 

 

一方、脳幹網様体の働きを抑制する神経伝達物質や刺激もあります。睡眠薬や麻酔薬などはその代表ですし、抗ヒスタミン薬も脳の働きを抑える作用があります。

 

また、大脳や大脳辺緑系などから脳幹に送られる信号のなかにも、脳幹網様体の働きを抑制するものがあります。疲労感や眠気などは、このような脳幹の働きを抑える信号によって起こると考えられます。

 

 

 

集中力と心の問題との関係

 

集中力は、心理学の分野でもさかんに取りあげられるようになってきました。スポーツやビジネスにしろ、勉強や習いごとにしろ、思いどおりの成果をあげるには、集中力を発揮する必要があり、集中力を身につけたいと願う人が増えていることも事実です。

 

 

では、心理学では、集中力をどのようにとらえているのでしょうか。集中力について解説している心理学関係の図書から、集中力を構成する要因をあげてみると、「意欲」「気力」「根気」「やる気」「注意」といった言葉が目につきます。

 

先に述べた脳の働きをふまえて整理すると、脳幹網様体の働きを活性化させて集中力をかきたてるには、「意欲」や「気力」を生み出す大脳の前頭葉の活動をうながせばよいということになります。

 

脳幹網様体がつかさどる意識レベルを、直接コントロールするのは困難ですが、脳のなかでもっとも人間的であるといわれる大脳前頭葉をうまく働かせることによって、集中力を高めることが可能になるという考え方です。

 

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