せん妄の診断 ほかの精神疾患との鑑別が難しい

せん妄の診断 ほかの精神疾患との鑑別が難しい

 

 

急性錯乱状態という別称でもわかるように、せん妄は突然発症します。しかし、ドラスティックな症状に先がけて、恐怖感や不穏な行動などの前ぶれ症状が数日前から現れるのが一般的です。

 

通常は1週間ほどで症状が治まりますが、原因が解決されない限り、せん妄状態は繰り返されます。原因が確認され、除去されると症状は急速に改善します。

 

せん妄の症状は認知症や躁うつ病、統合失調症などの症状とも似ているため、これらの精神疾患との鑑別診断が欠かせません。

 

 


 

 

記憶の記銘・想起力や見当識、言語、構成能力などをチェックするために、スクリーニング・テストとして用いられる「MMSテスト」は、簡便な精神機能検査であり、認知能力の状態を知るのに有効です。

 

また、患者本人は混乱していますので、身近な人からの情報が必要となります。家族は発病前の状態などを、できるだけ詳しく医師に説明しましょう。

 

 

【検査】

せん妄患者に対しては、通常の臨床検査として、血液検査(電解質、腎肝機能、血糖など)、甲状腺機能検査、梅毒血清検査、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)抗体テスト、尿検査、心電図、脳波、胸部X線、血液と尿の薬物のスクリーニング・テストなどが行われます。

 

さらに必要に応じて、血液や尿、ビタミンB12や葉酸の濃度、CTやMRIなどの画像診断、脳の損傷状態が推測できる髄液検査などが適宜追加されます。

 

【鑑別診断】

せん妄の症状は認知症と重なる面があるので、鑑別診断は不可欠です。

 

せん妄の発症は突然であり、認知症は一般に進行性あるいは階段状に悪化します。

 

 

認知障害は両者にみられますが、せん妄に日内変動があるのに対し、認知症ではあまり変化しません。

 

認知症患者は通常は意識清明ですが、せん妄では意識が減弱する時期をもつ点などを照合し、認知症かそれともせん妄だけなのか、あるいは認知症にせん妄が加わったものなのかなどを診断します。

 

 

統合失調症や気分障害との区別も必要です。統合失調症や躁うつ病とせん妄との区別はなかなか困難です。

 

統合失調症の妄想や幻覚は特徴が明らかで系統だっていることと、意識障害や見当識の変化が目立たない点などから判断します。

 

 

また、うつ病では朝方に症状の悪化がみられることや、見当識の混乱が軽い点などで鑑別します。

 

各疾患の脳波とせん妄の脳波の違いを利用するのも診断の助けになります。

 


 

 

 

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