フィトンチッドの効果と効率よく吸い込む方法
森の木々がつくるフィトンチッドの殺菌効果
テルペンのなかには細菌やカビを殺し、害虫を寄せつけない種類があり、これをフィトンチッドといいます。
フィトンとは植物、チッドは殺すというロシア語で、旧ソ連の科学者が発見しました。
人間は、植物が害虫から身を守るために絶えず放出しているフィトンチッドの効果を昔から利用してきました。
例えば古代エジプトではミイラづくりの際に防腐剤の代わりに白檀(びゃくだん)、肉桂(にっけい)、沈香(じんこう)、没薬(もつやく)など、木から採った香料を使用していました。
肉、魚介類の食品のスパイスとしてはクローブ、シナモン、ナツメグ、コショウ、ローズマリー、オレガノ、セージ、タイムなどが使われ、ヨーロッパ諸国は香辛料を求めインドやアジア諸国に進出しました。
日本でも抗カビ剤の代わりに、みかん箱にヒバの葉を、餅の保存箱にワサビを入れていました。
現代でもヒバの葉は鮮魚店で魚の下に敷いているところがあります。
さくら餅、柏餅、笹だんご、ホウバ餅、ツバキ餅などは、それぞれの木の葉のもつ香りと酸化防止作用を利用したものです。
さらに水洗トイレが普及する前には、イチジクの葉はトイレからの悪臭を防止する効果があるため、庭木としてトイレの近くに植えられました。
イチジクにはハエの幼虫のウジを殺虫する作用もあるといわれています。
フィトンチッドはほかの動物には有害のように思われますが、森では大気中に放出されると、すぐに拡散してしまいます。
私たちが吸い込むときはppb(10億分の1%)という単位ですので、特殊なものを除いて害になることは、まずありません。
むしろ人のからだには穏やかに作用し、生理活性作用のあることがわかってきました。
ぜんそくの症状を軽減したり痰(たん)をとり除くフィトンチッドの効果
欧米では古くからユーカリのにおいは、のどのイガイガや痰(たん)をとり除くといわれてきました。
日本でもスギなどのにおいは咳を抑えると、言い伝えられてきました。
実際、青森地方の一部では小児ぜんそくの子どもをヒバの製材所に連れていくという風習が、比較的最近まであったようです。
木材を切断するとき、ヒバのフィトンチッドがヒバの林以上に放出され、ぜんそくの症状を軽減します。
都会のぜんそく患者が山間にある別荘に出かけていくと、症状が軽快するという話は、よく耳にすることです。
疲れを癒しリラックス効果もあるフィトンチッド
また、フィトンチッドと睡眠時間に関する実験も行われました。
すると森の芳香の満ちた部屋で睡眠を取ったのグループでは、同じ睡眠時間でも”疲れのとれ方が早い”という結果になりました。
自律神経失調症や心身症の治療の一環としてよく用いられる自律訓練法を行うとき、クスや針葉樹に多く含まれるアルファピネンの香りをかがせておくと、リラックス時に顕著に現れるアルファ波の出現率が高まったという報告もあります。
瞳孔(どうこう)の光反射を比較した実験では、森林環境を模した部屋では、はるかに瞳孔の光反射が敏感でした。
この結果は、大脳の活動がより活発であることを示しているといわれています。
森林の中で、心臓にかかる負荷をトレッドミルで再現した実験では、消費するエネルギー量も、主観的な疲労度も、実際の森林での歩行のほうが少ないという結果になりました。
つまり、森林内での歩行はフィトンチッドによる効果のみではなく、ほかの自然的な要素もからんでいると推測されます。
薬理作用のあるフィトンチッドの成分
フィトンチッドの主成分はテンペル類と呼ばれるもので、その作用は 去痰、殺菌、利尿作用、虫歯予防、精神安定、血圧低下、鎮静作用、アルファ波が増加し気分高揚するなどフィトンチッドの効果は多岐にわたります。
森の芳香をつくっているフィトンチッドは揮発性の高いテルペンですが、古来から薬の原料として活用されてきました。
主なものは次のとおりです。
成分(テンペル類) | 成分を含む植物 | 効果効能 |
---|---|---|
α-カジノール | ヒノキ | 虫歯予防 |
カンファー | クスノキ | 気分高揚、局所刺激、清涼 |
シトラール | バラ | 血圧低下、抗ヒスタミン作用 |
チモール | タチジャコウソウ | 去痰、殺菌 |
テレピン油 | マツ類 | 去痰、利尿作用 |
ヒノキチオール | ヒバ、タイワンヒノキ、ネズコ | 抗菌作用、養毛 |
ボルネオール | トドマツ、エゾマツ | 眠気覚まし |
メントール | ハッカ | 鎮痛、清涼、局所刺激 |
リモネン | みかん類の果皮、ローソンヒノキ | 鎮痛、コレステロール系胆石溶解 |
多くの漢方薬も植物のもつフィトンチッドを抽出した薬といえます。
こういった薬に含まれるフィトンチッドは、高度に濃縮されているから薬理効果があるというわけではありません。
揮発性の高いフィトンチッド同様、揮発性の低いフィトンチッドも数十億分の1ppb程度に希釈されて大気中に広がっており、この薬理作用も無視できないことがわかってきたのです。
フィトンチッドを効率よく吸い込む方法
樹木が最もフィトンチッドを多く吐き出すのは、暖かい気候のころです。 1日の時間帯でいえば、日光を浴びて光合成の盛んになる10~12時ごろです。
ただし、その日の風の強さも影響します。
強い風が吹いていると、フィトンチッドが飛ばされてしまうからです。
さらに、広葉樹林より針葉樹林のほうがフィトンチッドを多く吐き出す傾向があります。
効率よくフィトンチッドを吸い込むには腹式呼吸がよいでしょう。
鼻から息を吸い込んで、一度脳の中を空気が循環するようにイメージします。
そのまま喉頭をとおって、空気はさらに下がっていくと想像しましょう。
ヨガの呼吸法を練習すると、腹式呼吸はマスターできます。
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