なぜ性同一性障害が生じる?性の決定と性同一性障害の原因

性の決定と性同一性障害の原因

 

 

なぜ性同一性障害が生じるのか、もしくは、なぜ性の自己認知障害があるのかについてはさまざまな説がありますが、大きく次の四つに分けられます。

 

脳の形態変化に原因があるとする形態因説、胎生期のホルモンが関連するというホルモン因説、染色体・遺伝子に原因を求める説、心理・社会・養育的因子を重視する説です

 

 

【ホルモン因説】

 

胎生期からの性の分化と発達の過程に何らかの障害があったのではないかとする説です。

 

遺伝的には、受精した瞬問に性染色体が「XY」ならば男性、「XX」ならば女性として性が決定され、それぞれの性の方向に分化していきます。

 

 

その後、胎生第8週ごろに性腺の男性化が始まります。男性化しなかった場合は、11週になってから女性の性腺の分化、すなわち卵巣が形成されます。

 

さらに、週を追うにつれて外性器や脳の分化が進みます。

 

 

こうした過程で、精巣から男性ホルモンが分泌されなかったり、分泌されても量が少なかったり、時期が遅かったりすると、外性器の形成がうまくいかず、女性型や俗にふたなりといわれる間性となります。

 

 

胎生期に男性ホルモンにさらされてしまうと、外性器や輸管系が女性化できないで、間性もしくは男性型になります。

 

第二次世界大戦下に生まれた男性に同性愛者が多いという研究もホルモン因説の有力な根拠となっています。

 

戦火の激しいときに、妊婦は大きなストレスを受け、このストレスが胎児のホルモン低下を招き、脳の性差が未分化になったのではないかというのです。

 

また、性ホルモンの障害による疾患、例えば先天性副腎過形成、特発性低ゴナドトロピン性腺機能低下症、先天性無精巣症などの人にみられる性志向性、性の自己認知、性役割行動などを調べた結果、性ホルモンが性の分化に影響を与えることが報告されています。。

 

 

【形態因説】

 

脳にも性差があるのではないか、という議論は古くからありますが、現在のところ少なくとも、脳梁(のうりょう)や視床下部などに男女差があることが確認されています。

 

例えば、視床下部の視索前野の容積について調べたところ、男性は女性の2.5±0.6倍で、細胞の数は2.2±0.5倍も多いことがわかっています。

 

 

また、前視床下部間質核第三亜核の大きさは、同性愛の男性では、異性愛の男性に比べて小さく、女性と同じくらいであったという報告もあります。

 

これらのことから、脳の形態が性志向に何らかの影響を与えているのでは、というのがこの説です。

 

 

【染色体・遺伝子因説】

 

染色体の一つに同性愛に関係する部分があるという報告がありますが、女性同性愛者の染色体には異常が見当たりません。

 

また、双生児を対象とした調査で、同性愛は遺伝するかどうかの研究もされていますが、性同一性障害との関連については、まだはっきりしていません。

 

 

【心理・社会的・養育的原因説】

 

生まれたときの環境や家族の関係などに原因があるとする説です。

 

母親が妊娠中に男女どちらかの子どもを強く欲した場合、男の兄弟の有無や生まれ順など、さまざまなケースの調査・研究がなされてきました。

 

しかし、どれも性同一性障害の決定的な要因とはいえないようです。

 

 

 

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