性同一性障害の治療と診断 ホルモン療法や手術療法

性同一性障害の治療と診断 ホルモン療法や手術療法

 

 

性同一性障害の診断

 

具体的には、性同一性障害の診断は次のような順を追って行われます。

 

最初に、性の自己意識の決定をします。その手段としてはまず、人間関係や職歴など詳しい養育歴や、服装、性行動の経歴が聴取されます。

 

 

さらに、家族や親しい関係にある人々などから、これまでの経過や生活態度、家族関係やその環境などの情報を得たうえで、性意識について徹底的な検討が行われます。

 

この際、DSM-ⅣやWHO(世界保健機関)のICD-10などの国際診断基準を満たしていることも必須条件です。診断をするのは、治療に十分な経験をもつ精神科医2名で、うち1人は主治医です。

 

 

さらに、染色体やホルモン、生殖腺、内性器および外性器の検査で先天的な異常がないことが確認されます。

 

また、統合失調症人格障害が認められず、社会的理由による性役割の忌避や職業利益のために別の性を求めるものではないことを確認しなければなりません。これらの条件をすべて満たしたうえで、性同一性障害の診断がなされます。

 

 

性同一性障害の治療

 

性同一性障害の治療には3段階あります。まず、精神療法、いわゆるカウンセリングが行われます。

 

性同一性障害の臨床にかかわったことがあり、十分な経験のある精神科医もしくは臨床心理士、カウンセラー、ソーシャルワーカーなどが選ばれ、カウンセリングにあたります。

 

 

カウンセリングでは、これまでの人生のなかで性同一性障害であるために受けてきた精神的、社会的、身体的苦痛について、患者の話を聞くことから始まります。

 

そして、本人の精神状態が安定しており、反対の性への適合感が持続し、選択した性での生活が本人にとってふさわしいと思われるときは、選択した性で生活してみることになります。

 

 

この場合、選択した性で生活してみて、身体的、心理的、家庭的、社会的なあらゆる困難に対応できることが望まれます。

 

選択した性で生活してみるこの方法をリアルライフ・テストとよびます。最低2年間、選択した性として違和感なく過ごし、かつ社会的、身体的な困難を乗り越えて安定した精神状態を保っていると判断されたときは、次の段階に進みます。

 

 

ここから先の治療は、満20歳以上でなければ受けられません。

 

第2段階は、ホルモン療法です。検査によってホルモン療法を行っても身体的に問題がないと確認されたら、女性ホルモンであるエストロゲンもしくは、男性ホルモンのテストステロンが投与されます。

 

この際、本人だけではなく家族やパートナーにもホルモン療法の効果と限界、副作用について十分な説明がなされます。

 

 

また、文書での同意が必要となります。この治療は内分泌、泌尿器、産婦人科をそれぞれ専門とする医師によって進められ、定期的な健康診断、検査のほか、精神科医による面接、カウンセリングを受けることが条件です。

 

しかし、カウンセリングやホルモン療法では、症状を緩和したり精神的な苦痛をやわらげることができても、根本的な治療にはなりません。

 

そこで、これまでの治療を通じて、反対の性になりたいという強い意思が継続してあることに加え、身体的にも精神的にも不安定な状態に陥らなかった場合には、第3段階として、手術療法が検討されます。

 

 

手術療法は性同一性障害について十分な理解があるスタッフによって行われます。

 

手術の方法やその後に予想される社会的、精神的、身体的影響について、本人だけでなく家族やパートナー、子どもがいる場合は、できれば子どもの理解、同意が得られていることが望まれます。

 

 

手術には、さまざまな方法があります。女性になることを望む男性の場合は、乳房の形成、のどぼとけの切除だけでなく睾丸や陰茎をとったり、さらに膣を形成するなどの外性器、内性器まで切除、形成する方法があります。

 

男性になりたい女性は、乳房を切除したり、のどぼとけを形成するほか、卵巣・子宮を切除したり、膣をふさぐ方法などが選択されます。

 

手術療法が終了した後も、継続的、定期的に長期にわたり精神療法が続けられます。そのなかには、周囲に適応していくための化粧法や発声法、身のこなし方などを教えるという援助も含まれます。

 

 

 

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