学業や仕事への意欲を失う無気力症候群

学業や仕事への意欲を失う無気力症候群

 

 

無気力症候群(アパシー・シンドローム)とは、主に若年層にみられる、無気力・無関心から無為な状態に陥るケースを指すものです。

 

ある時期を境に学業や仕事への興味や意欲を喪失し、登校拒否出社拒否など、実社会に背を向けて非生産的な生活を続ける状態のことです。

 

 

アパシーとは、無気力、無感動、無関心といった意味をもつ言葉で、1961年にアメリカの精神科医ウォルターズが、当時の大学生にみられた特有の無為状態のことをスチューデント・アパシー(学生の無気力症候群)と称して以来、臨床の場で用いられるようになりました。

 

日本でも、1960年代から、大学の留年生のなかに、それまでにないタイプとして無気力学生の存在が認められるようになりました。以来、ウォルターズの概念に基づいて、調査・臨床研究が重ねられています。

 

 

日本ではアパシー現象が大学生に限らず、下は中高生から上は社会人にまで広く認められることがわかり、1973年に精神科医によって、アパシー・シンドロームと総称されるようになりました。

 

会社員に起こるアパシー状態は、学生のスチューデント・アパシーに対してサラリーマン・アパシーとよばれています。

 

 

青年期の成長過程において、失敗や挫折によって一時的に無気力になったり、むなしさを覚えるといったことはよくあります。

 

しかし、無気力症候群は無関心、無感動、目標の喪失感などを伴う無気力状態が数か月あるいは何年にもわたって続くことが多いという点から、一つの症候群としてとらえられています。

 

 

無気力症候群は、軽度のうつ病としての面も認められますが、従来の神経症に準じるタイプとしてとらえられました。

 

神経症といっても、不安障害、抑うつ神経症、強迫性障害、ヒステリーといったカテゴリーのいずれにも該当しないため、1984年に笠原氏が提唱した退却神経症というタイプとして位置づけられたのです。

 

現在のWHO(世界保健機関)の国際疾病分類ICD-10やアメリカ精神医学会の診断基準DSM-Ⅳでは、神経症(ノイローゼ)という言い方はしなくなっていますが、ここでは、当時の分類に従って説明していきます。

 

従来の神経症は、例えばDSM-Ⅳでは不安障害、解離性障害、身体表現性障害などに分類されています。

 

無気力症候群は、現状では明確な定義づけや分類が難しい、複雑な病態といえます。

 

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不登校・登校拒否と無気力症候群の関係

 

登校拒否と無気力には、深い関係があります。一つには、登校拒否が無気力症候群の誘因になりやすいということです。

 

つまり、登校拒否がこじれて長期にわたると、アパシー化(無気力化)が進んで無気力に陥り、結果として引きこもりの状態が続きます。

 

こうした事例が増加しているといわれています。

 

 

例えば神経症タイプでは、登校拒否は、心気症期から不穏期、そして無為期へ、という経過をたどるとされます。

 

心気症とは、実際には病気がないのに、重い病気にかかっているのではないかと過剰に心配するあまり、心身の不調を覚える状態です。

 

不穏期は、暴力期ともいわれます。無為期から立ち直ることができないと、次第に無気力となり、引きこもりなどが始まります。

 

 

登校拒否の人が一度は立ち直っても、10年後にはその3分の1が「無為な状態」にあるともいわれています。

 

登校拒否のアパシー化は実に深刻な問題で、対応が難しいのが現実です。

 

 

 

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