無気力症候群の特徴 本業からの選択退却

無気力症候群の特徴 本業からの選択退却

 

 

無気力症候群(アパシー・シンドローム)の症状の現れ方はさまざまですが、いくつかの共通した特徴をあげることができます。

 

一つは、無気力、無関心が生活全般に及ぶのではなく、その人の生活の中核をなす本業の部分に限定される傾向があるということです。

 

 

例えば、大学生であれば学業への関心をなくすため、当然、勉強に身が入らなくなります。

 

授業にも出席しなくなって、試験も受けず、結果として留年を繰り返します。

 

 

また、会社員(サラリーマン)であれば、仕事への意欲が失われ、それまで築いてきた地位も役割も投げだして、働かない生活へと退却していきます。

 

しかし大学生、会社員のどちらも、本業以外の領域については、決して無気力でも無関心でもありません。趣味の領域やアルバイトなどには熱中するといったケースが多いのです。

 

 

本業に対してだけ無気力になる傾向は、果たすべき役割を放棄して生活の一部から撤退する、あるいは離れてしまうという意味で選択退却とも表現されています。

 

 

本業からの退却によって、周囲の期待を裏切ったり、迷惑をかけていることに対して、本人はまったく罪悪感をもたない点も無気力症候群の特徴です。

 

現状から脱却しようとして、悩んだり苦しんだりするケースもきわめてまれといわれています。

 

しかも、例えば景色を見て美しいと感じたり、会話に喜びを見いだすといった感情が希薄になっていることが多いようです。

 

 

また、周囲の人から学校や職場への復帰を促されると、たまらない不安におそわれます。

 

 

アパシーに陥った人の抱く不安は、「試験が迫っているから」とか、「大事な取引があるから」といった、誰もが覚えるような具体的な理由によるものではありません。

 

本業から退却しているため、こうした不安からは完全に解放されており、なぜ不安なのか自分でもよくわからなくなっています。

 

何をしても、どんな状況になっても不安から抜けだせない不安障害などとは、この点で大きく異なるとされています。

 


 

無気力症候群の精神疾患との鑑別

 

無気力症候群(アパシー・シンドローム)では、さまざまな精神疾患との鑑別が必要です。特に無気力症候群を退却神経症として位置づけた場合は、ほかの神経症との違いを明確化させることも重要です。

 

対人恐怖は、人前に出ると過度に緊張してさまざまな症状が現れるため、引きこもりがちになることや、臨床的には男性に多いという点でアパシー症状と共通する部分があります。

 

うつ病では、抑うつ・悲哀・気分の変化・自殺企図・体重減少(増加)・著しい不眠・食欲不振などがみられ、無気力症候群との共通点が多いものです。しかし、アパシーと比較すると、症状が激しいことが特徴です。

 

 

また、統合失調症との鑑別も重要です。

 

スチューデント・アパシー(学生の無気力症候群)とみられる例のなかには、後に破爪型の統合失調症と診断されるケースや、青年期特有の気負いやひねくれとみられたものが初期の統合失調症であることもあります。

 

 

アパシーにおける過行は解離性障害の側面もあります。

 

解離とは生活上極めて困難な事態に直面したとき、それが夢で消えてなくなればよい、あるいはそれを忘れて別世界に住みたいと願い、記憶や意志を失って当面の困難から逃れることです。

 


 

 

スチューデント・アパシーでは、授業への欠席が顕著な症状として現れますが、いわゆる登校拒否とは少し異なります。

 

登校拒否は、管理体制に対して反発を感じながらも、抵抗できずに抑えつけられた結果の逃避行動として位置づけられます。

 

しかし、アパシーの病理では、無批判に体制に従ってきた結果、アイデンティティー(自己同一性)を喪失した状態としてとらえられます。

 

 

スチューデント・アパシーの場合、たいていは従順さ、やさしさをもつなどの性格傾向があります。

 

 


 

 

 

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