心身の健康に影響する脳内物質の分泌とライフサイクル

心身の健康に影響する脳内物質の分泌とライフサイクル

 

 

ライフサイクルのそれぞれの段階に起きるライフイベントは、脳内物質の分泌に密接にかかわっており、心身の状態や病気の発症に大きな影響を及ぼします。

 

脳内物質というのは、脳内で分泌されるノルアドレナリン、セロトニン、β-エンドルフィンといった化学物質のことです。

 

 

例えば、ノルアドレナリンは強いアルコール依存症や怒り、悲しみなどを感じると大量に分泌され、免疫機能の低下を招いて病気を引き起こす誘因となります。

 

また、不安や恐怖感を増大させる作用があります。

 

実際に、配偶者の死や離婚などを体験し、気分が沈んだ状態が続くと、病気になりやすい傾向がみられます。

 

 

逆に、楽しいと感じるときに分泌されるのが、β-エンドルフィンです。

 

β-エンドルフィンは、免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化して、病気に対する抵抗力を高めます。

 

つまり、脳内物質の分泌は、私たちが出会うさまざまな出来事と、それに伴う喜び、楽しみ、悲しみ、怒りといった感情や思考に大きく影響を受けるのです。

 

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心身症の発症とライフサイクルにはどのような関係

 

心理的な要因で起こる身体的疾患、いわゆる心身症は、中年期に発症しやすい傾向がみられます。

 

中年期にかかりやすい心身症としては、高血圧、狭心症、胃・十二指腸潰瘍、不整脈などがあげられます。

 

 

中年期には、身体的な予備力が低下してきます。

 

また、一方では社会的な責任が重くなり、大きなアルコール依存症がかかる時期でもあります。

 

そのような要因を背景に、心身症を発症しやすくなると考えられます。

 

 

また、心身症になりやすい人は、自分自身の感情の認知力や表現力が乏しく、空想性、想像力に欠けるアレキサイミシア(失感情症)という性格傾向があるとされています。

 

アレキサイミシアには、乳幼児のころに、母親あるいは養育者と良好な関係がもてないことからくる、情緒応答性の発達障害がかかわっていると考えられています。

 

アレキシサイミアとは?

 

アレキシサイミア(失感情症)は、自分の情動の認知あるいは、情動の言語化が失われた状態のことで、自分の情動を正しく認識したり表現したりすることができない状態を意味します。

 

 

心身症では、このような状態や性格がみられることが多いといわれています。

 

アレキシサイミアの原因は、先天的なものとする説と、乳幼児期の母子関係の欠陥にあるとする説に大別されますが、結論はまだ出ていません。

 

 

また、最近では、極度のストレスからくる二次性アレキシサイミアが指摘されています。

 

 

例えばアレキシサイミアの傾向が強いといわれる慢性腎不全の患者には、もともと素因がある場合と、透析というわずらわしさや、一生続けなければならないというストレスから生じる二次性のものがあるといわれています。

 

 

アレキシサイミアの診断には、自分の感情よりも事実関係を細部にわたって詳しく述べる、適切な言葉を用いて感情を説明できない、思考内容が想像や情動よりも外面的な出来事に由来しているなどの点が考慮されます。

 

 

また、心身症の患者には感情だけでなく身体感覚も失っている人も多くみられ、例えば、糖尿病で血糖値が通常の10倍近い1,000mg/dlを超えても、自覚症状を訴えない人もいます。

 

これをアレキシソミアとよぴ「失体感症」あるいは「失身体感覚症」と訳されています。

 

 

心とからだは密接に結びついており、からだが不健康な状態であれば、心の健康も損なわれてしまいがちです。

 

生涯にわたる精神の発達のためには、年齢に合った適度な運動を行い、からだの健康を保つことも大切です。

 

 

 

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