反抗期のない子ども・若者たちの成長過程や原因・背景

2020年6月30日

反抗期のない子ども・若者たち

最近の若者たちの成長の過程をたどると、子どものころは「親に逆らわない、言うことを聞くよい子」だったと答える親が増えています。

こうした若者たちは幼児期の第一次反抗期にも思春期の第二次反抗期にも、目立った反抗も争いもせず、親にも周囲の人にも優しく、人を傷つけないように本音を言わず、勉強以外には生きがいを見つけ出すすべもないまま成長したといえるかもしれません。

近ごろは、目立った反抗期がみられなくなっているといわれています。
自分の意見を主張する学生がいなくなった、と指摘する大学教授もいます。

「これについて君はどう思うか」と尋ねても、「わかりません」「何も思いつきません」という答えしか返ってこないというのです。

これらの反抗期のない原因や背景には、子どものころの以下のような傾向が指摘されています。

  • 家庭で親に口答えもせず、心配をかけるようなことは言わない
  • 学校でも友だちを傷つけることを恐れて、本音を言わない
  • 対人関係を確立する能力が低下して、自分の世界に閉じこもる傾向が強い

反抗がなくなるのはよいことだ、という考え方もあるかもしれません。

しかしこれでは、他人と意見交換をしたり、時にはぶつかり合うなかで、より豊かな見識を身につけるきっかけを失い、いつまでも成熟しきれない子どものまま社会人生活を送ることになってしまいます。

反抗には意義がある

成長過程のなかで、大きな「反抗期」は幼児期と思春期の2回訪れます。

いわゆる第一次反抗期第二次反抗期です。

個人差はありますが、一般には、第一次反抗期は2歳後半から4歳ごろまでに、第二次反抗期は中学生ごろに表れます。

一見別の原因で起きているように思える第一次反抗期第二次反抗期ですが、共通点もいくつかあります。

まず何よりも、自我の確立によって周囲、特に親との関係が抑圧になり、そこから抜け出そうとする「あがき」のようなものだという点が共通しています。

もちろん自我といっても幼児期と思春期では質において大きな違いがあります。

第一次反抗期でははじめて自分の欲求で行動することを覚え、それをじゃまする者に立ち向かう自我です。

これは当然周囲との摩擦を生みます。
この摩擦のなかから、他者を思いやり、自我をコントロールする能力を身につけてゆくのです。

このように重要な人格形成に、第一次反抗期の過ごし方が大きな意味を持つのです。

一方、第二次反抗期の自我はもっと高次になってきます。

身体の変化に伴う悩み、恋、そして他人を否定しつつも他人の自分への評価が気になり、高まる自意識のなかに自信過剰と不安が同居して、心の揺れの振幅は大きいものになっていきます。

悩みも不満も深刻で時に荒々しい激情を伴います。

この時期に自分の長所も欠点も受容して、ゆったりと自分を受け入れる余裕を見つけられた人は、他者をも受け入れる余裕を持ち、奥行きのある大人へと成長します。

この時期は社会性を身につけた大人になるための準備段階であり、「反抗期」というよりはむしろ「独立反応」とでもいうべきものなのです。

この第二次反抗期がはっきり表れない現代の若者は、一見優しそうにみえても実は誰にも心を許せない、孤独な未成熟なままの子どもたちなのです。