統合失調症の患者を支える家族の役割
統合失調症の患者にとっては、家族が最も頼れる人であり、多くの場合は医療より大きな意味をもってきます。
日常生活のなかで、家族が受けもつ具体的な役割は次のようなものです。
まず、患者の状態をよく観察することが大切です。
特に自殺の危険、暴力、抑うつなどの有無に注意します。
自殺企図はうつ病に比べて低い傾向にあります。
ただし、急性期で攻撃的傾向が強いときは、自傷行為として、回復期には病気の経過を振り返って、いたたまれない思いから自殺を試みたりします。
また、患者は自己管理ができないため、薬の管理も家族の大切な仕事となります。
病気や治療法、医療機関などについて、情報収集をするのも家族の役割です。
家族や親族縁者、友人などでネットワークをつくり、助け合うようにしましょう。
病院や保健所にいるケースワーカー、医療ソーシャルワーカーとよばれる専門家は、治療の相談はもちろん、経済など生活上の困ったこと、ほかの家族の問題など、いわばよろず悩みごとの相談に応じてくれます。
共倒れにならないよう、患者の面倒をみる役割分担を決めて、常に一人の負担が重くならないよう配慮することも大事です。
孤立しているより、自助グループに参加し、対応について学習します。
いつまでも不安や罪責感、悲嘆にとらわれず、困難な状況への現実的な対処法を身につけ、現実的な希望を捨てず、努めて楽天的になることです。
デイケアやナイトホスピタルは、患者のためだけのものではありません。
家族を閉塞した辛い状況から救ってくれる家族支援機関でもあるのです。
公的なサービスを適宜利用して、家族が悩みから解放されることも必要です。
長い闘病生活を支えるには、家族が上手にリフレッシュを図って、心身ともにタフであることが特に大切です。
しかし、この病気の正しい知識をもつ人が少ないために、行動がおかしいと感じても、受診を勧めることも少なく、一般に受診は遅れがちです。
急性期を経て病状は徐々に収まり、慢性的な経過をとるケースが多くなります。
治療によって目立つ症状が消失しても、一進一退を繰り返しながら、現状維持、または悪化していくことがあり、二度と症状が出ないまでに寛解するケースは4分の1、多少の障害を残しながらも、一応安定した状態にまで回復するケースが半分、精神荒廃に至るケースはほんの一部とされています。
薬物療法の進歩により、生涯を入院生活で過ごすようなケースは減っています。
よほど重症でない限り、適切な治療を受ければ、一般社会で暮らすことが可能になっています。
そのためにも、治療を早期に始めることが重要です。
特に精神疾患では、何よりも大きな支えとなるのは家族の協力です。家族は病気について十分な知識をもち、医療機関とコミュニケーションをとりながら、適切な対処を身につけましょう。
何もする意欲がなくなり、引きこもってしまいます。
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