増えている夫婦性活のトラブル

増えている夫婦性活のトラブル

増えている夫婦性活のトラブル

 

背景には、若いころにさかのぼって、夫に対する不満がうっ積していることがあるようです。家事や子育ての心労を理解しようとしなかったり、性生活は単に欲求のおもむくままといった夫側の姿勢に深い絶望を感じ、嫌悪感につながっているのです。

 

 

夢や愛情に包まれて結婚生活をスタートしたはずの2人が、なぜ離婚という結果に至るのでしょうか。

 

夫が生活費を妻に渡さないといった経済的な問題、浮気など愛情のもつれ、嫁姑問題に代表される親族関係のトラブル、暴力、アルコール依存症や精神病など、さまざまな原因が考えられますが、社会学的な調査ではなかなか浮かび上がってこないもののひとつに、夫婦間の性生活の問題があります。

 

 

多くの場合、夫婦には子どもを産み育てるという役割がありますが、その出発点となる夫婦性活は、お互いを理解し、いたわり合うという点でも、非常に大切なものです。

 

精神科医や臨床心理士らが取り組むカウンセリングに対しての相談例をみると、夫婦性活の障害が夫婦の破綻につながる場合が少なくないことがわかります。

 

先の統計では、離婚件数を同居期間別にみたものもありますが、「25~30年」という熟年のカップルの離婚が、前年比より高い伸びを示していました。

 

 

他方、東京の更年期医療を専門とするクリニックの受診者1,800人を対象とした調査では、実に7割の女性が「夫との性生活に嫌悪感を覚える」と答えています。

 

受診者は夫婦性活に関する相談のために訪れたのではなく、一般の更年期障害を訴えて来院した人ですから、この数字は驚くべき高さではないでしょうか。

 

 

背景には、若いころにさかのぼって、夫に対する不満がうっ積していることがあるようです。

 

家事や子育ての心労を理解しようとしなかったり、性生活は単に欲求のおもむくままといった夫側の姿勢に深い絶望を感じ、嫌悪感につながっているのです。

 

夫婦性活がない状態は、単に性の問題というよりは、夫婦の絆に深く関与しているといえるでしょう。

 

 

 

夫婦性活の相談例の多くは男性に問題

 

セックスレスの原因は、主として男性に問題があるケース、女性に問題があるケース、双方に問題があるケースがあります。相談例で一番多いのは、男性に問題があるケースです。

 

男性に問題がある場合

 

ED(インポテンツ)

糖尿病や手術などのため勃起機能が障害されて性交できない「器質的インポテンツ」と、機能的には正常なのに、精神的要因によって勃起できない「心因性インポテンツ」があります。

 

心因性インポテンツのなかにも、緊張や疲労、性行為に対する知識不足に起因する「現実心因」と、母子の過剰密着などによる「深層心因」の場合があります。

 

このほか薬物の副作用によるインポテンツもあります。降圧薬、抗不整脈薬等の循環器用薬、向精神薬等の中枢神経用薬、消化性潰瘍用薬、前立腺疾患治療用薬などのホルモン製剤などが原因となる場合があります。

 

回避型人格障害

インポテンツとは違い、勃起能力はあるのに、失敗を恐れる気持ちが強く、性交を拒否してしまうケースを回避型人格障害とよんでいます。

 

次の7項目のうち、4項目以上該当する場合は回避型人格障害です。

  1. 批判によって傷つきやすい
  2. かれている確信がなければ対人関係を持とうとしない
  3. 家族以外に信頼できる友人がいない
  4. 重要な対人関係を避ける
  5. 恥をかくことを恐れ、人前で無口になる
  6. 人前で赤面や困惑することを恐れる
  7. 臆病で、いつもと違ったことはやらない

 

女性に原因がある場合

女性にだけみられるものに性嫌悪症があります。精神的な要因で、性に対する著しい嫌悪感を持つことから、夫婦性活を拒否してしまうものです。

 

性欲がないか、あるいは著しく低下しているため、骨盤底筋肉の強いけいれん性収縮を起こし、性交不能の状態になる膣けいれんもあります。

 

このほか、更年期による性交痛や性欲の低下も珍しくありません。また精神的な不安やうつなどのための性欲低下、性感覚の異常などもみられます。

 

 

 

夫婦性活の治療は感覚集中訓練法で

 

セックスレスの状態を解消するために一番大切なのはパートナーの理解です。

 

2人でいっしょに治療に取り組むという共通の目標を持つことで、多くの場合、壁を乗り越えることができます。

 

しかし、夫のED(インポテンツ)をきっかけに、妻が抑うつ状態におちいり、夫婦仲に亀裂が走るといった例もみられます。

 

こうしたケースでは、治療に対してパートナーの理解・協力が得られず、治療中に離婚に至るケースもあります。

 

 

心因性インポテンスや回避型人格障害の場合は、精神療法と行動療法を統合したサイコ・セラピーとよばれる技法が有効です。

 

2週間に1回程度のペースで医師のカウンセリングを受けながら、家庭では「宿題」として「感覚集中訓練(センセート・フォーカス・テクニック)」を行います。

 

一般に心因性インポテンスよりも、回避型人格障害のほうが治療が難しいようです。回避型人格障害のほうが、心のより深いところに問題があるからと考えられています。

 

 

すでに子どももいるのに、ある時期からセックスレスになってしまう場合もあります。これはとくに中高年に多くみられるもので、仕事や日常生活におけるストレスが原因になっている場合が少なくありません。

 

仕事上の人間関係、職種・職場の変更、競争、単身赴任、経済的な不安、定年退職、子どもの教育などがストレスの原因と考えられます。

 

このような場合は、カウンセリングを受けてストレスを回避したり、あるいは乗り越える方法を、自ら見つけだすことが大事です。

 

 

 

夫婦は一種の運命共同体

結婚は、人生最大のイベントともいわれます。愛し合う2人が結ばれ、共に暮らし始めるというだけでなく、いったん家庭を築いた以上、もはや2人だけの関係というより、地域社会とのつながりにおいて考えると、結婚は社会的な出来事でもあります。

 

結婚はまた、人間関係の基本が親子関係から夫婦関係へと大きく変化することをも意味します。

 

異性同士で、性的結びつきがあり、経済的な利害が一致しているなど、夫婦はさまざまな人間関係のなかでも特異的なもので、一種の運命共同体ともいえるでしょう。

 

 

その一方で、夫婦は人間関係が濃密である分、さまざまな行き違いや感情のもつれも起こりやすいといえます。愛情がいつのまにか嫌悪感や憎しみに転化してしまう例が少なくありません。

 

 

一般に、日本人の場合は欧米人に比べて夫婦で過ごす時間が少ないともいわれています。

 

調査によれば、夫婦だけの楽しみの時間を週1、2回以上持つ夫婦の割合は、アメリカで約8割にのぼったのに対し、日本ではわずか1割でした。

 

 

同様に「個人的な問題について話し合う」夫婦についても、アメリカでは7割を超えていますが、日本では半数以下にとどまっています。

 

別の調査では、日本人夫婦の会話時間は、子どもが成人している場合でも1日平均1時間強という結果が出ています。こうした夫婦間のコミュニケーション不足もまた、日本特有の夫婦関係の問題を生む背景にあるといえそうです。

 

自分には関係ないと思っていたにもかかわらず、相手が発する小さなシグナルを見逃して、いつの間にか夫婦関係の傷口を広げてしまうケースも少なくありません。

 

この機会に、みなさんの夫婦関係をいま一度、見直してみるのはいかがでしょうか。

 

 

 

夫婦性活と親子間の問題との因果関係

 

ひとり息子で過保護に育てられ、自主性、自立性に欠ける男性の場合、しばしばセックスレスにおちいることがあります。

 

特に、こうした生育歴に加えて、交感神経が緊張しやすい体質で内向的な人の場合、人前に出ると不安や緊張を感じてしまい、思うように自分を発揮できません。

 

 

女性の場合、両親との関係がしっくりいかず、「いつもよい子でいよう」と無理をしてきた人が、結婚に強い理想像を描き、現実とのギャップからセックスレスとなり、離婚に至った例などが報告されています。

 

親子関係がギクシャクしていたがために、新しい結婚生活に過大な夢を描き、今度こそ自分の思いどおりの家庭を築きたいという意識が強すぎ、夫のささいな欠点が許せないのです。

 

このように、セックスレスとなる夫婦には、しばしば夫婦間の問題以前に、親子関係に問題のあるケースが見受けられます。

 

また、子どものときに親から愛撫されたり、抱きしめられたりした経験が、成人後に正常な性生活を営むうえで大変重要であるとの指摘もあります。

 

 

 

けんか上手が夫婦仲良しの秘訣

 

外国の心理学者によると、夫婦の真の親密さを支える要因は、攻撃性にあるといいます。

 

攻撃といっても、夫婦双方が一定のルールのもとで互角に戦うことが大切のようです。

 

こうした一種の「夫婦げんか」をすることで、表面的ではない心の深いレベルでの親密さが共有できるというわけです。

 

 

家族の電話相談を受けつけているグループには、最近、ものごとを決断して行動を起こすことのできない男性からの相談が多いといいます。

 

会話もなく破綻寸前の夫婦関係でありながら、どうすればよいのかわからず、ただオロオロしているだけという姿からは、上手にけんかもできない夫婦関係が浮かび上がります。

 

 

夫婦は一種の運命共同体。いたわりあい、理解しあって年を重ねたいものです。

 

関係が密である分、感情がもつれやすいのも夫婦です。たまには、ゆっくりと2人の関係や将来について話し合ってみるのもよいでしょう。

 

夫婦円満のためには、パートナーとともに人生を楽しむという考え方も大切です。

 

夫婦関係は、セックスがすべてではありません。

 

 

 

 

 

夫婦性活上の注意点

 

妊娠を目的としない更年期以後の夫婦性活は、パートナーとのコミュニケーション手段の一つとして、生活にうるおいを与えてくれるものです。

 

しかし、自分本位の不注意な態度がパートナーに与える心の傷は、若い頃より深くなる場合もあります。

 

互いの体の変化を尊重する

加齢にともなう体の変化は、女性だけでなく、むしろ男性にとって大きなコンプレックスとなる場合が多くあります。

 

シワ、シミ、たるみ、ぜい肉がつく、といった変化は、食事や運動に気をつけていたとしても、ある程度はだれにもやってくるものです。

 

それらを指摘したり、笑いのタネにするのはお互いに控えた方がいいでしょう。

 

更年期以後の男女には、それまでの人生経験によって培われた大人の魅力があります。若い頃にはなかったそれらの美点を、まず認め合う姿勢が大切です。

 

更年期女性の体の変化に対して無知な男性は、膣の乾燥感や萎縮に注意を払うことなく、自分勝手な性交をして、女性の自分に対する拒否感を強めてしまうケースが少なくありません。しかも、自分に原因があることさえ気づいていない有様です。

 

更年期になったら、パートナーが今どんな状態にあるのかを率直に話し合いましょう。更年期以前から、お互いの体の調子を思いやれる関係性を築いておけば、そのときがきても、慌てずに対処できるものです。

 

更年期障害の症状がつらいときは、「指1本触れられるのもイヤだ」と訴える女性は少なくありません。この感覚を理解できないとしても、尊重する姿勢が大切なのです。

 

 

夫婦性活を快適にする工夫

ホルモン補充療法(HRT)を受けていない女性は、性的に興奮しても、膣がうるおってくるまでに少し時間がかかります。ペニスの挿入を急ぐと痛みを与えてしまうので、時間をかけて行うようにしたいものです。

 

2人で相談し、市販されている膣潤滑ゼリーを使うのもいいでしょう。ゼリーは無色透明かつ無味無臭で、膣の入り口と奥にたっぷりと塗って使用します。

 

男性は、ペニスの侵入がセックスであると考えがちですが、女性は必ずしもそうではありません。

 

ただ寄り添って眠るだけで満たされる、肩を抱いてもらったり、マッサージをしてもらう、手をつなぐといったスキンシップでも、十分愛情を確認できると話す更年期女性は多いのです。

 

日ごろのこうしたスキンシップが愛情ある性生活のベースとなる側面もあるようです。

 

長年付き合っているパートナーでも、こと性に関してはデリケートな問題なので口にしにくいようですが、更年期以後は、そうした垣根を取り払う良い機会です。自分はどうしたいのか、パートナーに望むことは何か、といったことはぜひ伝える努力をしたいものです。

 

 

閉経するまでは確実な避妊を

40代に入って月経が不順になると、もはや妊娠する可能性はない、と考えがちですが、閉経が明確になるまで妊娠の可能性は残っています。

 

40代以降の人工妊娠中絶は年間2万人以上あり、これは20歳未満の約半数に匹敵します。

 

こうした事態を避けるためには、閉経まで確実に避妊することが重要です。

 

性生活の頻度が比較的高い女性で、血栓症のリスクが高い喫煙などの生活習慣病要因を持っていない場合は、40代でも低容量ピルが避妊手段の選択肢の一つとなります。

 

毎日のピル服用が負担なら、パートナーの男性にコンドームを着けてもらうか、女性用コンドームを使用することが次の選択肢です。

 

基礎体温表で排卵日を予測し、その数日間のみ性交渉を控えるという方法は、実はもっとも確実性に欠けるのです。実際には排卵日を事前に予測することは不可能に近いからです。

 

妊娠を望まないなら、避妊法についてパートナーと話し合う必要があります。

 

 

性感染症のリスクも考慮する

近年、男女ともにパートナー意外の異性と性交渉を持ったり、複数のパートナーと付き合うケースが増えているようです。

 

「不倫」や「浮気」にまつわる道徳的な問題はさておき、こうしたケースで心配なのは、性感染症(性病)にかかるリスクが高いことです。

 

性感染症のほとんどは、性交時の体液の交換で感染します。クラミジアやトリコモナス、淋病、性器ヘルペスなどがその代表です。

 

女性では、異臭のするオリモノで気づくこともありますが、無症状で気づかないまま、パートナーにうつしていまうこともあるのです。

 

一方、男性はペニスからウミが出たり、排尿障害が起こるので、わりあい気づきやすいものです。

 

自宅にて匿名で性病の検査をすることが出来ます。

性病検査キット

 

これらの病気のほとんどは適切な抗菌薬で治せますが、エイズを引き起こすHIVウイルスに感染した場合、完治させる方法は今もありません。

 

対策としてはパートナーを1人に限定し、さらに最初からコンドームを使うことがもっとも重要です。

 

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