自殺未遂者への対応

自殺未遂者への対応

 

 

自殺の危険因子のなかで最も危険な因子は、自殺未遂の既往です。自殺未遂者の治療は、まず自殺未遂によって生じた緊急の身体的治療が優先されます。

 

続いて、今後も自殺を図る可能性があるかを検討します。自殺未遂を繰り返す危険度を評価する際は、次のような項目について調査します。

  • 自殺手段はどの程度、危険なものだったか
  • その方法は簡単に手にすることができるか
  • 今後いつ実行しようとしているか
  • 自殺行動は誰かにあてられたメッセージか

 

以上の4点を押さえたうえで、次のような傾向のある人はきわめて危険であり、厳重な注意が必要になります。

 

  • アルコール症や薬物乱用者
  • 人格障害
  • 精神科治療歴・入院歴がある
  • 過去にも自殺未遂を反復している
  • 単身生活で周囲からの援助が十分に得られない
  • 手段の危険度が徐々に高まっている

 

治療にあたって自殺未遂者が家族や友人などからどの程度の協力を得られるかを確認して、入院治療にするか、外来治療にするかを決定します。

 

いずれにしろ、家族や友人の息の長い協力が得られないことには、未遂者の自殺を防ぐことはできません。

 

家族や友人は、往々にして自殺未遂を過小評価しようとしますが、医師の指示に従った適切な対応をとらなかった場合には、生命を失う可能性が非常に高いことを十分に認識する必要があります。

 

自殺未遂者の病院での治療

 

いくつかの危険因子をもち、自殺企図または衝動の抑制がきかないと感じられるときは、周囲の人は精神科に相談し、一晩だけでも入院させてもらうように頼みましょう。

 

医療側は、適切な自殺防止策として、監視者をつける、一人にしない、危険物をおかないといった対策を講じて身体の安全を確保し、同時に精神的・身体的状態の診断と治療を行います。

 

 

自殺を企図する多くの患者がうつ病を有しているか、うつ状態にあるため、まず抗うつ薬と抗精神病薬による薬物治療が試みられます。

 

焦燥感が強い場合は、抗不安薬も用いられます。

 

いのちの電話の役割

 

いのちの電話

 

全国のいのちの電話 ご案内

 

いのちの電話は、1971年に東京でスタートした、日本初の組織的な電話相談機関です。現在は都道府県に一つ以上の施設が設置され、認定を受けた電話相談員が対応しています。

 

いのちの電話の役割は、ときには救急医療的な対応もありますが、通常は、相談者の迷いにじっくり耳を傾け、つきあうところにあると考えられています。

 

 

相談者の匿名性を重んじ、24時間・年中無休体制(一部は時間制)を原則とし、あらゆる悩み事の相談に応じています。

 

最近の傾向として、高齢化社会を反映し、60代以上での自殺問題についての相談も増えています。そのなかで、常習的通話者といわれる一部の人々がしばしば相談を繰り返す例もみられます。

 

電話が中年以上の世代にもコミュニケーションの手段として利用されるようになり、電話をはじめさまざまな社会的資源がサポートシステムとして機能しています。自殺防止についても、その可能性が高まることが期待されます。

 

 

 

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