うつ病とは

2020年7月3日

私たちの感情や気分は、日常生活のなかで常に揺れ動いているものです。

ときには、「気持ちがふさいでいる」「落ち込む」「憂うつになる」といったこともあれば逆に、「爽快な気分」とか「はしゃいだ気持ち」になることもあります。

うつ病は、このような喜怒哀楽の感情が極端に偏って表れ、それがある期間持続することによって、社会生活に支障をきたし、自らも苦しむようになる心の病気なのです。

うつ病は、単極性うつ病と双極性うつ病(双極性障害)に大別されます。

単極性うつ病が、気分がふさぎ込むうつ病相だけを示すのに対し、双極性うつ病は気分が高揚する躁病相のみ、あるいはうつ病相と躁病相の両方が現れます。

単極性うつ病は、双極性うつ病よりも発症率が高く、うつ病全体の半分以上を占めています。

双極性うつ病は20~30%と比較的少なく、なかでも躁病相だけを繰り返すタイプはかなりまれなケースとされています。

双極性うつ病では、うつ病相はたいてい3~6か月ほどで軽くなるケースが多く、躁病相は2~3か月ほどで回復しますが、何回か再発を繰り返すこともあります。

また、再発を繰り返すにつれ、再発の間隔が短くなる傾向がみられます。

平均発症年齢は、単極性うつ病では20代後半から30代にかけて、双極性うつ病では10代後半から20代前半が多いとされていますが、中高年での発症も増加の傾向にあります。

最近の研究のなかには、男性では10人に1人、女性では5人に1人くらいの割合で単極性うつ病を発症するという報告もみられます。

うつ病はよく「心のかぜ」と表現されるように、精神疾患のなかでは身近な病気であるともいえます。

目次

うつ病の定義と診断基準

うつ病は、気分あるいは感情面で障害が現れる病気であることから、気分障害とよばれるようになってきました。

アメリカ精神医学会編の「精神疾患の診断・統計マニュアル」第4版(「DSM-Ⅳ」)では、単極性うつ病を気分障害の一つに分類し、「大うつ病」として以下のように定義しています。

まず、抑うつ気分と、興味または喜びの喪失を2大症状としています。
さらに、次の7項目を特徴的な症状としてあげています。

  1. 著しい体重の減少または増加に加えて、ほとんど毎日食欲の減退か増進が現れます。
  2. 不眠または睡眠過多がほぼ毎日続きます。
  3. 日々の行動や思考にいらだちや焦りがみられたり、逆に制止してしまうこともあります。
  4. 疲れやすく気力が減退します。
  5. 過剰で不適切な罪悪感を覚えたり何事にも価値を見いだせなくなります。
  6. 思考力や集中力が減退します。
  7. 常に自殺のことを考えたり(自殺念慮)、もくろんだり(自殺企図)することもあります。

抑うつ気分か興味または喜びの喪失のどちらか一方の症状があり、全7項目の症状のうち5項目が2週間以上続いた場合に、大うつ病と診断されます。
また、DSM-IVではうつ病の重症度を、軽症、中等症、重症の3段階に分類しています。

重症のうつ病としては、精神病的特徴である幻想や妄想などを伴うものと伴わないものがあげられます。

精神病的特徴を伴うケースは、さらに気分に一致した精神病的特徴のあるものと、気分に一致しない精神病的特徴のあるものに分けられます。

気分に一致した精神病的特徴とは、罪悪感、病気、死といったことにかかわる幻想や妄想で、気分に一致しない精神病的特徴とは、「誰かに操られているような感じがする」「頭のなかの考えが周囲の人にわかってしまう」といった統合失調症にみられる幻想や妄想です。

うつ病の原因と要因

うつ病は、配偶者や親しい人との別離、病気や事故、仕事や学業での失敗といった生活上の出来事や環境の変化によるストレスが原因となって発症することが多いものです。

うつ病を誘発する生活上の出来事は、必ずしもマイナスなものばかりではありません。
結婚、出産、入学、就職、昇進、新居への引っ越し(引っ越しうつ病)など、一般に喜ばしいとされることも発症のきっかけとなるケースがみられます。

また、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン、セロトニンの欠乏による脳の機能的障害も、うつ病の発症にかかわりがあると推察されています。

ノルアドレナリンとセロトニンは、多くの神経伝達物質のなかでも特に睡眠や食欲、感情などのコントロールに影響していると考えられています。

神経伝達物質のかかわりについては、現在さまざまな研究が行われていますが、まだはっきりと解明されてはいません。

しかし、ある種の神経伝達物質に影響を与える薬剤がうつ病相を改善することは事実です。

このことは、うつ病の病因に脳の機能的障害という生物学的側面があることを示しているといえます。

このように、うつ病の原因は、社会的、心理的、生物学的要因が重なり合って生じると考えられています。

うつ病とPTSD

PTSDとは日本語では「心的外傷後ストレス障害」と訳されているものですが、大きな災害に遭遇した人が、事件後の精神的なダメージから、さまざまな後遺症を引きずってしまうことです。

事件直後は、大きな被害にあったにもかかわらず、気分的には高揚し活動的になることがあります。
その後眠れなくなったり、ちょっとした物音に驚いたり、怖い夢でうなされたりという症状が出てきます。

日本では阪神・淡路大震災後、被災者にこうした症状がみられ、一挙に研究が前進しました。

こうしたPTSDがきっかけでうつ病を発症することもあります。

うつ病の症状は主に2つの症状があります

うつ病の症状には、気分や思考、意欲や行動面に現れる精神症状と、からだに生じる身体症状とがあります。

うつ病では、精神症状や身体症状が一日のなかで変動する点が大きな特徴です。
これを症状の日内変動といいます。

大半は朝に調子が悪く、日中には少しずつ回復してきて、夕方になるとかなりよくなるものです。

まれに症状の変動がなく、一日中具合が悪い人や、夕方に調子が悪く、朝のほうがよいというケースもみられます。

うつ病では、さまざまな精神症状や身体症状によって追いつめられてくると、「死にたい」「生きていても仕方ない」「死んだほうがましだ」という気持ちになります。

そして、四六時中死ぬことばかりを考え、それを実行する場合があるので、周囲の人は十分な注意が必要です。

うつ病の気分

うつ病で最も特徴的な症状は、憂うつで悲しい気分になることです。

「気が滅入って元気が出ない」などと訴えることが多く、涙もろくなったりします。

症状が重くなると生き生きとした感情が失われ、「悲しいのに悲しめない」といった状態に陥ることがあります。

また、高齢者では不安や焦燥感が強くなるケースが多くみられます。

重症になると、苦しさは並大抵のものではなく、「暗闇に引きずり込まれるような感じ」などと表現する患者もいます。

こうした気分は、明るい出来事が起こってもまったく変わりません。
周囲の楽しい雰囲気や喜ばしい出来事は、むしろつらく、わずらわしいと感じるのです。

また、楽しいはずの趣味や遊びにも興味や喜びを覚えなくなります。

うつ病の思考

何かを考えようとしても整理がつかず、理解・決断力の低下がみられます。

そのため、職場では人間関係や交渉事に支障をきたし、家庭では家事ができないといった状態に陥ることも少なくありません。

思考のペースが遅くなるため、表情が乏しくなったり、話し方がゆっくりになり、周囲からは認知症のようにみられることもあります。

物事に対する考え方が悲観的になり、とり越し苦労が目立ちます。

自分を「価値のない人間だ」とか「駄目な人間だ」と過小評価して、病気が重くなってくると妄想を抱くケースもみられます。

例えば、金銭的に困っているわけではないのに「破産した」「貧乏になった」と考えたり、健康に自信を失い、重い病気にかかっていると思い込んだりします。

うつ病の意欲・行動

何をするのもおっくうになり、自発的な行動がとれなくなってきます。

人との交流を避けてひきこもりがちになったかと思うと、いらいらして突っかかるような言葉を吐いてみたり、落ち着きなく歩き回ったりするときもあります。

入浴や着替えといったことさえつらくなり、日常生活に支障が生じてきます。

うつ病の身体症状

不眠は、うつ病ではほとんどのケースにみられる症状です。
特に、朝早く日が覚めて、その後眠れないのがうつ病の不眠の特徴です。

過眠となることもありますが、熟睡感が乏しく、疲れがとれないと訴えるケースが多いものです。

食欲も著しく低下してきます。
単に食欲がなくなるだけでなく、何を食べてもおいしく感じられなかったり、会話をしながら楽しく食事をすることが苦痛になるなど、食への関心や喜びが失われ、たいていは食べる量が減ってやせてきます。

まれに過食になることもあり、この場合は、甘い物や炭水化物を多くとる傾向がみられます。

このほか、疲労感や倦怠感、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、動悸、手足のしびれ、便秘や下痢、胸痛、腰痛、筋肉や関節の痛み、性欲の低下、月経異常など、さまざまな身体症状が現れます。

軽いうつ病ほど身体症状が目立つ

うつ病では精神症状だけでなく、身体症状もともないます。

よく見られるのは、全身のだるさや疲労感、頭痛、頭重感、肩や首のこり、便秘、下痢、吐き気、動悸、めまい、性欲減退、月経異常といったものです。

頭痛や腹痛、関節痛といった痛みの症状が強く出る人もいます。

これは、自律神経がアンバランスな状態になっているためと、痛みを感じにくくする作用を持つセロトニンの機能が低下した結果です。

こうした身体症状は特に重症のうつ病より、軽いうつ病で目立つ傾向があります。

軽いうつ病は、身体症状で精神症状が隠されたうつ病という意味で「仮面うつ病」ともよばれています。

また、うつ病の症状は、1日のうちで変化するのも特徴です。

最も具合が悪いのは、たいてい朝起きたときから午前中にかけてで、午後から夕方にかけて少し和らいできます。

うつ病の種類はさまざまな分類に分けられます

うつ病は、国や研究学派などの違いによって、さまざまな分類が行われています。
日本にもいくつかの分類法がありますが、原因によって、

  • 内因性うつ病(単極性うつ病、双極性うつ病)
  • 神経症性うつ病
  • 反応性うつ病
  • 脳器質性うつ病

の四つの種類に分ける分類法が主に用いられてきました。

内因性 うつ病 原因が特定できないうつ病です。

単極性うつ病はうつ状態だけが現れるケースで、>躁うつ病(双極性障害)は、うつ状態と躁状態の両方が現れるケースを指します。

神経症性 うつ病神経症(ノイローゼ)に起因する憂うつ状態で、DSM-IVは気分変調障害に分類されている病態に該当します。
反応性 うつ病 原因が特定できるうつ病を指し、日常生活のなかのさまざまな出来事が要因となります。

男性では特に、職場での人事異動や過労、経済的な問題、退職などが女性の場合は、妊娠や出産、夫婦関係の問題、子どもの独立、引っ越しなどが発症のきっかけの引越しうつ病になるケースが多いとされています。

配偶者、友人・知人の病気や死なども大きな誘因の一つです。

また、結婚や就職、昇進といった喜ばしい出来事がきっかけとなってうつ病を発症するケースもみられることから、状況因性うつ病とよぶ場合もあります。

脳器質性頭部外傷や脳血管障害などによって、脳が損傷を受けた後にうつ状態に陥ったケースを指します。

さまざまに名づけられたうつ病の種類とケース

うつ病は、はっきりした原因がなくても起こりますが、なかにはキッカケとなった出来事や体験などによって、名前がつけられているうつ病もあります。

引っ越しうつ病

引っ越しうつ病とは、大変な思いをして手に入れた新居に引っ越したけど、周囲とうまくなじめず、「以前のほうがよかった」と考えている内にうつ状態に陥るケースです。

産後うつ病

産後うつ病とは、出産後の心身の不調から抑うつ的な気分になり、不眠や育児に対する不安や家族に対する不満を訴えたり、自殺を考えたりするケースです。

昇進うつ病

昇進うつ病とは、昇進を機に空虚な気分にとらわれ、ちょっとしたミスなどをきっかけに自信を失って、うつ状態に陥っていくケースです。

上昇停止症候群

上昇停止症候群とは、仕事一筋でやってきた会社人間が中年期を迎え、それ以上出世できないと気づき虚しくなり、うつ状態を招くケースです。

命日反応

命日反応とは、親しかった人の命日になると不安にかられたり、気持ちがひどく沈み込むケースで、亡くなった相手に対する何らかの思いが強く心のなかに残っていると起こりやすいとされているケースです。

朝刊シンドローム

朝刊シンドロームとは、うつ病の日内変動のために、朝起きても新聞を読む気力さえ失われている状態で、うつ病の初期症状ともいえるものです。

ほほえみうつ病

ほほえみうつ病とは、うつ病になっているのにそれを他人に絶対に知られたくないという意識から、どんなに落ち込んでも、つらくても、いつもニヤッとほほえんで隠そうとするケースです。

うつ病を改善するための治療

うつ病を改善するためには、精神療法と薬物療法を併用することが必要です。

精神療法では、まず治療に臨むにあたっての心構えや生活指導が行われます。
例えば、うつ病が脳内の神経伝達物質にかかわる生物学的側面をもつ病気であり、ほかの身体疾患と同じように十分な休養や薬の服用が必要なことを本人に理解してもらうようにします。

また、うつ病は一進一退を繰り返しながら少しずつ回復していき、時間はかかっても必ず治ることを説明し、焦ったり、あきらめたりしないように繰り返し説得します。

自殺念慮、自殺企図に対しては、患者に自殺をしないようにきちんと約束させます。

薬物療法では、抗うつ薬を投与し、必要に応じて睡眠導入剤、抗不安薬などを併用します。
抗うつ剤は脳内の神経伝達物質の機能低下を回復させて、憂うつな気分や意欲の低下、身体症状のほか、減退した食欲や不眠などを改善する働きがあります。

しかし、治療効果が表れるまでには、通常2~3週間ほどかかります。

抗うつ薬には、だるさ、眠気、口やのどの渇き、便秘といった不快な副作用がみられるため、なかには自己判断で薬を減らしたり、服用を中止してしまう人もいますが、薬が合わないと感じたら、主治医と相談して薬の変更を検討してもらう必要があります。

また近年は副作用が出にくい薬も増えています。

いずれにしろ、規則正しく服用し続けることが大切です。

症状が回復してきても、すぐに服用を中止すると再発の危険性が高いので、しばらくは薬を飲み続けることになります。

一方、抗不安薬は比較的即効性があり、飲んですぐ不安感や焦燥感が落ち着くと感じる人が多いようです。
ですから、薬に依存しやすくなるリスクもあります。

睡眠薬は作用時間の長さによって、短時間型、長時間型などに分けられ、それぞれたくさんの種類があります。

アルコールと一緒に飲むと一過性の健忘など思わぬ副作用が出ることがあるので、使い方の指導をきちんと受ける必要があります。

次第に量を増やしていくような薬は今ではほとんど使われませんが、抗不安薬と同様、心理的な依存が出やすい薬ではあります。

日常生活が送れないほどうつ症状が強いときは、これらの薬が心身をラクにしてくれますが、日本人は一般に「薬に頼ってはいけない」という意識が高いために、長く使っているとそのことに対する抵抗感がかえって不安感を増し、その結果、薬の量が増えるといった悪循環に陥ることもあります。

薬だけに頼らず、カウンセリングや日常生活を送るうえでの指導などについても、十分相談に乗ってくれる医師を主治医にすれば、こうした不安は解消されるでしょう。

うつ病は治癒までの道のりが長い病気だけに、医師選びも慎重に行いたいものです。

電気けいれん療法

薬物療法を行っても症状が改善しない場合や死にたいという気分が強いときなどは、患者本人や家族の了解を得て100~120ボルトの電流を頭部に通電する電気けいれん療法(頭部通電療法)を行うケースもみられます。

うつ病は通常、身体症状、活動性、気分の順に回復していきますが、意欲の低下や否定的な考え方は、治癒が近くなってからやっと改善することが少なくありません。

活動性が改善しても、抑うつ感情や意欲の低下、否定的な考え方が残っている段階は自殺の危険性が最も高い時期なので、十分な注意が必要です。

傷病手当金について

傷病手当金を受給しながら「うつ病の治療」をしましょう。
受給期間/受給金額/受給例や、傷病手当の書き方が詳しく掲載されています。

うつ病が原因でも傷病手当金が受給できます。
治療する間、休業される方は傷病手当金を受給しながら余裕をもって、ゆっくり治療できる環境が望ましいです。

うつ病のセルフケア

「これさえやれば、うつ病にならない」といえる予防法はありません。

しかし、不調を感じたとき、自分で体調を整えることはできます。
軽いうつ病なら、自分で治すことも可能です。

重いうつ病では自殺する危険がともなうため、早期に専門医の治療を受けることが何より大事なポイントとなりますが、何となく気分が低迷している程度ならまずは次のようなセルフケアを試してみてもいいでしょう。

有酸素運動がうつ気分を晴らす

欧米では、定期的な運動のうつ病に対する効果を見る臨床試験が古くから行われています。

うつ病の治療は、ともすれば年単位になりがちなので、そこにかかってくる膨大な医療費を節約しようというのが主な理由です。
患者にとってもセルフケアで症状が改善するなら、それにこしたことはないでしょう。

今わかっているのは、運動の中でも特に有酸素運動は、うつ病には効果があることです。

有酸素運動とは、普通に呼吸をしながら持続的に行う軽い運動で、ウォーキングや水泳、自転車こぎなどがそれにあたります。

20分以上続けると体脂肪を燃やす効果があるので、減量対策としてもよく勧められます。

米国で50歳以上のうつ病患者156人を対象に、有酸素運動と抗うつ薬、あるいはその両方で、16週間後の症状の変化を調べた研究では、有酸素運動と抗うつ薬はほぼ同じ効果がありました。

この研究では、有酸素運動と抗うつ薬の両方を用いた人たちがもっとも治療効果が上がらなかったのですが、その理由は定かではありません。

理想は週3回以上体を動かすこと

有酸素運動がうつ病を改善させるのは、脳のセロトニンを増やしたり、ベータエンドルフィンという麻薬様物質の分泌を促して、気分をよくするではないかと推測されています。

軽く汗ばむ程度の運動をして、気分がスッキリした経験はだれしもあると思います。

運動が嫌いでしようがないという人は、無理に行っても逆効果になりかねませんが、それ以外の人は、日ごろから定期的な運動を心がけてください。

精神的な効果だけでなく、身体的にも筋力の低下を防いで持久力を保持する、骨量の減少を防ぐといった健康効果が期待できます。

うつ症状が出ていると、休息を勧める医師が多いのですが、うつ病の人は休もうと思っても、実際にはゆったりと休むことができません。

イライラや焦燥感をともなう場合が多いからです。

それなら軽い運動で体を動かした方が、治療効果が上がるというのも納得できる話ではあります。

理想は、週3回以上を目標に定期的に体を動かすことですが、それが難しいなら、とりあえず週末だけレジャーとして体を動かすことから始めてみましょう。

睡眠障害や不安に効くサプリメント

精神状態が不安定になると、睡眠障害も必ずともなってきます。
うつ状態では、夜間や早朝に目が覚める中途覚醒が多く、不安・緊張状態が続いている人では、寝つきが悪くなります。

この場合も、有酸素運動やヨガなどのリラクゼーションで体を温めることをまずお勧めしますが、よく効くハーブサプリメントもあります。

不眠に対する効果が証明されているのは、バレリアン(セイヨウカノコソウ)というハーブです。

ドイツで行われた不眠症患者を対象にした研究では、約9割の人に効果があり、抗不安薬として使われる医療品とほぼ同等の効果を持つと報告されています。

また、不安・緊張を和らげる作用があるため、不安障害の精神症状も改善するといいます。

バレリアンには、もともと生ゴミのような独特の臭気があり、コーティングされた錠剤以外はサプリメントもややにおいます。

しかし、慣れればそれほど気にならないと思います。

比較的即効性があるので、不眠対策なら就寝の30分から1時間前に飲めば、リラックスして入眠できるとされています。

日中のストレス対策なら、眠気を催さない程度に量を減らして飲むといいです。
深刻な副作用は報告されていません。

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軽いうつ気分ならハーブが効く

うつ気分の改善にはセントジョーンズワートというハーブサプリメントが効果があります。

セントジョーンズワートは、欧米では抗うつハーブとして一般によく親しまれていて、軽症~中等度のうつ病に対しては、抗うつ薬(SSRI)とほぼ同等の効果があることがこれまでの研究で確認されています。

効果を実感できるまでには通常、2週間程度かかるので、あせらずに続けてみるといいでしょう。

うつ気分と不安・緊張の両方を持っている場合は、セントジョーンズワートとバレリアンとを随時併用しても特に問題はありません。

ただしセントジョーンズワートは、一部の処方薬の効き目を低下させると報告されています。

薬を飲んでいる人は、併用前に主治医にまず相談してください。

これらのサプリメントは本格的なうつ病、あるいは不安障害になる前に使ってこそ、利用価値があるといえます。

日常生活がままならないほど症状が重いのに、サプリメントで頑張るなどといったことは禁物です。

うつ病再発予防の対策

うつ病は長期的にみると再発しやすい病気です。
再発の頻度は高齢になるにつれて高くなるといわれますが、個人差が大きく、さまざまな経過があります。

次のポイントに注意して、再発の兆候がみえた場合は早めに対応しましょう。

  • 自分の性格をよく知ること
  • 発病したときの環境を検討し、似たような状況に注意すること(家族にも注意してもらう)
  • 他者の力を借り、自分の負担を重くしないこと
  • 自分自身の生活を大切にして、他者の目を気にしないこと
  • 不眠や食欲不振を感じたら、早めに受診すること
  • 欲張らず、八分目の生活を心がけること

うつ病の一つ、朝刊シンドロームとは?

うつ病には、1日のうちに良い時と悪い時がくる日内変動という生体リズムがあります。

多くは、モーニング・デプレッションとよばれるもので、早朝から午前中にかけて抑うつが強く、夕方には比較的楽になるというケースです。

軽症うつ病の一つである「朝刊シンドローム」も、この典型的なパターンです。
状態の変化は朝に顕著に現れます。

朝起きるとからだがだるく、心身ともに不調なため、毎日読んでいた朝刊(新聞)さえ読む気になれず、出社することも面倒になってしまう、というものです。

朝刊シンドロームのこうした状態は、うつ病の初期に特に顕著にみられる症状で、高じればやがては出社拒否に結びつきます。

女性の場合は、朝の身だしなみ、服装や化粧に対する美の関心が薄れ、買い物に行くという意欲の低下などが朝刊シンドロームにあたります。

早期発見のためには、何といっても家族が変化を見逃さないことが大切になります。

うつ病のもう一つのタイプ「ほほえみうつ病」

うつ病にも、いくつかのうつ病の種類があります。

昇進うつ病は、昇進を機会にしてうつ病に陥るケースです。

ほほえみうつ病では、うつ病になっているのにそれを他人に絶対に知られたくないという意識から、どんなに落ち込んでも、つらくても、いつもニヤッとほほえんで隠そうとします。

中高年の中間管理職に多いといわれていますが、これも、仕事や人間関係、家庭内の問題などによるストレスが原因とされています。

競争の激しいサラリーマン社会で昇進が人より遅れて、落後者扱いされるのが怖くて、不安や悩みがあっても周囲に気づかれないように振る舞うため、ニヤニヤ笑いが顔に張りついたようになってしまうのが「ほほえみうつ病」です。

気分変調性障害と気分循環性障害

重症の精神疾患にまでは至らなくとも、何となく気分がすぐれないことが続くなど、軽症のうつ病や躁うつ病患者が増えています。

こうした症状は、以前はそれぞれディスサイミア(気分変調症)、サイクロサイミア(気分循環症)とよばれていましたが、DSM-IVでは、気分変調性障害、気分循環性障害として診断基準が設けられました。
気分変調性障害とは、一日中抑うつ気分が抜けず、それが2年以上も続くような気分障害で

  • 気力の低下あるいは過労
  • 食欲減退あるいは過食
  • 不眠あるいは過眠
  • 自尊心の低下
  • 集中力低下
  • 絶望感

などの症状のうち2項目以上に当てはまるものとされています。

また、気分循環性障害は、軽躁状態と軽症あるいは中等度のうつ状態を2年以上にわたって繰り返すものです。

こうした気分障害は、どちらかというとメランコリー親和型など、性格的な問題にかかわっている傾向が強いといわれています。

うつ病と性格の関係

うつ病の発症には、その人の性格も深くかかわっています。

ドイツの精神医学者のテレンバッハは、うつ病になりやすい人の性格には、秩序を愛し、他人と同調しようとする傾向がみられるとし、それをメランコリー親和型性格と名づけました。

具体的には、勤勉できまじめ、几帳面、律義、物事に熱心、完璧主義といった特徴があげられます。
また、人に任せたり、手抜きをすることができない、強い責任感や道徳感をもっている、融通がきかない、人と争うことができない、人に頼まれると嫌と言えない、良心的で人に対して気をつかいすぎるといった要素もみられます。

このようなタイプの人は、生活上の変化に直面したときに、ストレスを蓄積しやすい傾向にあります。

このようにうつ病と性格には深い関わりがあります。

例えば、昇進したらそれまで以上に責任を感じ、能力の限界を超えても休まず完璧に仕事をやりとげようとして無理をしがちです。

また、引っ越し先で、新しい近所づき合いに気をつかいすぎて疲れてしまう引っ越しうつ病といったケースもみられます。

自分でも知らぬ間に心身のエネルギーを使い果たしてしまい、ついにはうつ病になりやすいのです。

現代人のうつ病で多いのは、ストレス過多の状態で発症するケースです。
ただ、同じようにストレスを受けても、うつ病になる人とならない人がいるように、なりやすさには気質が関係します。

つまり、うつ病はある気質の人が、ある環境に置かれたときに発症しやすい病気なのです。

一方、完ぺき主義で、些細なことを気にしすぎる、批判されることに対して心が乱れやすい、恥ずかしがり屋で神経過敏といった、いわゆる神経質の人は、うつ病よりむしろ不安障害(神経症)になりやすいのです。

不安障害は、かつてノイローゼといわれていた病気のことで、ストレスによって、病気や不安・緊張が続く状態です。

うつ病の人の心が、内側へ内側へと向かって自分を罰する方向へ行くのに対し、不安障害では、そのつらさを周囲に過度に訴えるという違いがあります。

また、不安障害の睡眠障害は、早朝覚醒よりも寝つきの悪さとなって現れます。

とはいえ、近年はストレス過多から不安障害となり、それが長引いたためにうつ病を併発する人も増えています。

更年期で悩みからうつ病や不安障害を発症しやすい人は、思春期や青年期にも対人関係などで悩みながら、何とか乗り切ってきた頑張り屋が多いようです。

うつ病と更年期の関係

更年期の環境要因

うつ病を発症しやすいのは、慣れ親しんだ環境が大きく変わるときです。

それによるストレスが大きすぎて、うまく対処できなくなった結果として、うつ病が起こるということです。

更年期世代は、いわば「喪失の年代」ともいえます。

女性では、子どもの自立による「母親という役割の喪失」があり、子どもや家族のために献身的に尽くしてきた女性ほど、その対象を失ったとき、うつ状態に陥りやすくなります。

親を亡くす、親しい友人をなくすといった喪失も経験します。

また、若く美しいことに対するこだわりが強い場合、若さの喪失や女性性の喪失といったものにとらわれて、うつ状態になることもあります。

更年期男性も同じように、「若さの喪失感」を強く感じる年代にあたります。

体力、気力が低下していく一方、責任は増える年代であり、昇進、転勤、リストラ、定年退職といった仕事上の変化がのしかかってくる年代でもあり、精神的な負荷がもっとも強くなります。

逆に言うと、こうした誰にでも起こりうる環境の変化をどう乗り越えるかが、うつ病を予防するひとつの鍵といえるでしょう。

女性と男性のうつ病はどう違うのか

女性の場合、うつ症状がでてくる原因として、女性ホルモンの変動が深く関わっている側面があります。

男性でも更年期以降、男性ホルモンが低下する人がいますが、それが直接うつ症状につながることは少なく、この違いは、今あるうつ症状をどう治療していくかに関わってきます。

エストロゲンと情緒の関係

女性は、うつ病を発症しやすいライフステージが4つあります。

もっとも多いのは、分娩(出産)から6ヶ月から1年以内、2番目に多いのが老年期、次いで月経が始まる思春期と、閉経前の更年期があげられます。

老年期を除けば、いずれも女性ホルモン、エストロゲンの分泌が不安定になる時期にあたります。

エストロゲンは卵巣から分泌されますが、その働きは全身に影響を及ぼし、それは脳も例外ではありません。

脳には、エストロゲンを受け止める受容体とよばれる鍵穴があり、そこにエストロゲンがくっつくことで作用を発揮します。

エストロゲンが安定的に分泌されている間、女性の情緒は安定します。
これは、エストロゲンに、脳の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの働きを調整する作用があるためです。

セロトニンは情緒を安定させ、痛みを感じにくくして、気力を高めて、気分をシャッキリさせる作用があります。

一方、ノルアドレナリンは増えすぎると不安感が増強されますが、通常は興奮や過敏性を抑えて沈静化する働きをしています。

そのため、エストロゲンの分泌が不安定になると、これらの神経伝達物質もアンバランスになって、情緒不安定になってしまうのです。

40~50代女性では、閉経後よりむしろ閉経前の方が、エストロゲンが不安定なためか、うつ、イライラ、不安といった精神症状を訴える人が多いと報告されています。

閉経すると、エストロゲン量は低いなりに安定するので、ホルモンの変動をきっかけに起こる情緒不安定は起こりにくくなります。

更年期女性のうつ症状は、エストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)で改善する場合もあります。

テストステロンとうつ気分の関係

男性の場合は、女性のように性ホルモンの影響で情緒が不安定になるといった現象は、原則として見られません。

男性ホルモン、テストステロンは更年期以降、減る傾向が出てくるものの、テストステロンが減ったからといって、それが直接、うつ症状に結びつくかどうかは不明です。

しかし、間接的に影響が出る可能性はあります。
たとえば、テストステロンが減ったために、勃起障害(ED)が引き起こされているようなケースです。

この場合は、テストステロンの補充やED治療薬で性機能を回復させることで、うつ気分が改善する場合が多くあります。

男としての自信を取り戻せることが、その理由の一つですが、心身の活力が出ることで、元気になれるという側面もあります。

ともあれ、男性の場合、更年期にあたる年代であっても、日常生活に支障を与えるほどうつ症状が強い場合は、ホルモン補充療法(HRT)の効果はあまり期待できません。

更年期障害としての治療ではなく、むしろうつ病の治療が必要と考えた方がよいのです。

新たな生き方の発見が治癒への道

更年期世代のうつ病は、この年代に特有の精神的危機、すなわち中年期の挫折に端を発したものです。

そのため、治癒への道筋は、新たな生き方を模索する過程となります。

更年期世代は、心理的には最盛期ともいえる時代ですが、身体的には下り坂で若さに固執すればするほど、喪失感が強まり、それが自己嫌悪や自己不全感につながってしまいます。

子どもの親離れや、親が病気で倒れるといった喪失体験も同じですが、これらを乗り越えるには、まず「失った」という事実を認めることが重要です。

そのうえで、自分の個性や感性を主張するにはどうしたらいいかを考えていけば、それらは単なる喪失ではく、新たに何かを得ることへと発展を遂げます。

うつ病や不安障害では、視野が狭くなって、あるひとつのことにこだわったり、のめり込んでしまいがちです。

しかし、周囲をもう一度見直して、自分にできる事できない事を分けて考えるようにするだけでも、現実的な選択が可能になります。

これまでの生き方を否定して、自分はダメな人間だと考えてしまう裏側には、実は完璧でありたいという強い欲求が隠れています。

また、他者の評価を必要以上に気にして、かえって自分の欠点ばかりが目に付いてしまい、身動きがとれなくなっている人もいます。

20~30代ならまだしも、更年期を迎えた年代なら、もはや他者と同じであろうと努力する必要はありません。
むしろ、自分の個性や持ち味をいかんなく発揮していく年代なのです。

そこに気づくと、意外なほどあっけなく、うつ状態から抜け出る人も少なくありません。

逆にいうと、ここで新たな生き方をつかめるかどうかが、残りの人生を豊かに生きられるかどうかの分かれ目なのです。

うつ病患者への接し方

うつ病の治療中に患者の気持ちが楽になってくるかどうかは、周囲の人の接し方によるといっても過言ではありません。

うつ病の人への接し方のポイントとしては、何よりもまず、自殺に注意することが大切です。

自殺に用いられそうな物は患者の周囲からとり除き、患者から目を離したり、一人にしないように気をつけます。

また、患者を励ましたり、気分転換に誘うことは逆効果になる場合が多いものです。

特に「頑張って」とか「しっかりしなさい」といった叱咤激励の言葉は禁句です。

本人は「頑張らなくてはいけない」と思っても頑張れずに苦しんでいるのですから、こうした励ましはますますうつ状態を深めることになりかねません。

ゆっくりと休養できる環境を整えて、温かく見守りましょう。
処方された薬をきちんと服用しているかどうかを確認したり、患者の負担になることは代わりに行うなど、精神的な安定を図れるようにできるだけ協力します。

なお、自殺するおそれが強い、現在の環境から離れないと休養できない、家族が疲れきっている、通院治療を受けていても改善がみられないなど、入院したほうがよいケースもあります。

うつ病は、治療によって症状が改善しても、再発する可能性の高い病気です。
そこで、患者本人も日ごろから再発の予防に努めなくてはなりません。

まず、自分自身の性格をよく知り、これまでの生活を振り返ってみます。
発病に至った状況を十分に把握することが大切です。

うつ病の人の多くは、何もかも一人で引き受けてしまう傾向がみられますが、ときには他人に援助や相談を求める必要もあります。

他人に任せられることは任せ、悩み事は友人や家族などに遠慮なく打ち明け、自分の負担をなるべく少なくするようにしましょう。

また、ゆとりのある生活と気分転換を心がけ、生活や環境に何らかの変化が起こったときは、特に休息や睡眠を十分にとることが大切です。

自宅療養期とリハビリ期を分けて考える

うつ病の治療には、自宅で心身を休める時期と、再び外に出て生活を整えていく時期があります。
家族の関わり方はそれぞれの時期で異なります。

自宅療養期
(下手に声をかけず、あたたかく見守る。
安心して休める環境を用意する。)
  • 休養が最優先。
    まだ症状が強く、ストレスによって悪化する。
    はげまさないほうがいい。
  • 判断力や思考力が落ちている。
    重要な決断をしいたり、頼ったりしてはいけない
リハビリ期
(外出できるようになったら、じょじょに励まし、勇気づけるといい)
  • 心身の状態が回復し、外出する意欲が出てくる。
    外出できるようになってきたら励ます。
  • 職場復帰が近くなってきたら、相談にのったり、助言したりするのもいい。
  • 人に会ったり、連絡をとったりすることが増えていく。
    無理をしないように見守る。


 

対応

見分け方

自宅療養期 休養と服薬を最優先。

退職や自殺など、悲観的な決断・行動をしないように見守る。

意欲がない。
食欲不振。
睡眠不足。
思考力や判断力、集中力が低下している。
リハビリ期服薬を続けながら、リハビリを開始。
疲れやすさは残っているため休養も必要。
意欲や興味を示すことができる。
食事や睡眠が安定。
物事を冷静に受け止められる。

「励ましてはいけない」とよく言うけれど

うつ病治療中の人に「がんばれ」と声をかけると、プレッシャーを与えてしまい、状態を悪化させるとよく言われます。

このアドバイスは正解でもあり、間違いでもあります。
治療初期で認知のゆがみが出ているときは、激励を「ダメ出し」と受け取りがちです。
療養期は睡眠と食事がとれ、安心できていれば十分。
「励まさない」が正解です。

一方、治療が奏功して心身が回復してきた人には、勇気づける意味で、ある程度の後押し、励ましが必要となります。

元気になってきたとはいえ、長く休んでいたため、活動への自信を失っています。
この時期は「適度に励ます」のが正解です。
主治医と相談しながら、社会生活や職場への復帰を目標にしていきます。

うつ病の相談窓口、公共機関、医療機関など

うつ病患者さんをもつ家族が知っておきたい相談窓口

家族会

うつ病の人を支える家族同士で集まり、情報交換をする会が全国に存在します。

医療機関や精神保健福祉センターに聞くと教えてもらえます。

患者会

患者さん同士が集まる会もあります。

支えになるが、治療初期は交流が負担になる場合もあるため、参加する前に主治医に相談しましょう。

家族相談

患者さんが家族同伴で受診することをすすめたり、家族対象の窓口をもうけたりしている医療機関があります。

希望する場合は主治医に相談・質問をしてください。

自助グループ

医療機関が、患者さんや家族のグループ活動を支援している場合があります。

同じ境遇の人が集まって情報交換。
医療スタッフが助言をおこないます。

うつ病患者さんが知っておきたい相談窓口

仕事関連
地域障害者職業センター

障害者の就労支援などをおこなう公的機関です。
うつ病の場合、精神障害として支援を受けられます。

ハローワーク

一般の就労支援機関だが、近年はうつ病など障害がある人のための窓口を設置している場合があります。

リワーク施設

地域障害者職業センターのほか、医療機関、社団法人、NPO法人などが、復職支援の取り組みをしています。

メンタルヘルス対策支援センター

厚生労働省委託事業として、相談や支援をおこなっている機関です。

全国都道府県に設置されています。

その他

日本産業カウンセラー協会や労災病院、EAP企業などでも窓口をもうけています。

生活や治療関連
精神保健福祉センター

心の病気に関する情報提供や相談をおこなっている公共機関です。

全国都道府県にあり、健康保険が適用され、地域の精神科、心療内科のことも聞けます。

保健所

心の病気にかぎらず、病気全般への対応をおこなう公的機関です。

うつ病に特化しているわけではないが、対応はしています。

その他

自殺予防総合対策センターや、NPO法人などでも相談できます。

厚生労働省のウェブサイト「こころの耳」で各種窓口を調べることができます。

うつ病を克服した方達の声

うつ病を克服した方達の体験談を掲載しています。
現在、うつ病で悩んでいるあなたにとって対策やヒントになるかもしれません。

引っ越しをキッカケにうつ病を発症した翔子さん

専業主婦の翔子さん(49歳)は、旦那の隆史さん(44歳)の地方への転勤に伴い、住み慣れた我が家を離れ、引っ越しすることになりました。
息子達はすでに独立し、今は夫婦二人の生活です。
引っ越し後しばらくは、近所への挨拶まわりや新居の整理整頓などの雑事に追われて忙しい日々が続いていました。

3か月ほどしてやっと落ち着いてきたころに、翔子さんは心身の不調を覚えるようになり、朝は早く目が覚めるのに気分がすぐれず、からだが重く感じられてなかなか起きることができません。

家事をしたり、買い物に行く気力もなくなって、虚しさにおそわれることもしばしばでした。

もともと凡帳面な翔子さんが、家事を放ったままゴロゴロしていたり、疲れたからといって夕食の用意もしないといったことが続くようになり、心配した隆史さんの勧めもあって、翔子さんは近所の内科医院を受診しましたが、からだには特に異常がないとの診断でした。
内科医の紹介で精神神経科クリニックを受診したところ、うつ病であることが判明したのです。

翔子さんの場合、慣れない土地に引っ越して、これまでと生活のリズムがすっかり変わったこと、親しい人もなく、近所の人たちとのつき合いに気をつかいすぎたことなどが大きなストレスとなり、うつ病を発症したものと思われました。

抗うつ薬の服用を開始するとともに、医師からうつ病の原因や症状などについて詳しい説明を受け、十分な休養をとって無理をしないようにアドバイスされました。
3か月ほどの治療で翔子さんは引っ越しうつ病の症状を克服し、現在は安定した状態を保っています。

新居ができたのに気がめいる聖子さん

聖子さん(36歳)は、現在夫と子ども3人の5人家族で暮らしています。
これまでは夫の会社の社宅に入っていましたが、パートに出てコツコツと貯金したかいもあって、ようやく郊外に一戸建ての家をもつことができました。
これまでの狭くて騒々しい社宅とは違い、新しい家は庭もあり開放的です。
聖子さんは、新居への期待に胸をふくらませていました。

ところが、やっと引っ越しの後片づけも終わり、新しいパート先も決まって一段落したころ、急に気分が落ち込み、これまで大好きだった家事も何となくやる気がなくなり、パートに対する意欲もなくなって仕事先でも失敗が続き、すっかり自信をなくしてしまいました。

聖子さんは、更年期障害を疑って婦人科医を訪れましたが、医師と話をするうちに、精神科医を紹介されました。
聖子さんは、夫が遠距離通勤になり朝が早くなったことによる睡眠不足、仕事先での失敗や気が合う人がいないことなどを訴えました。
近所の奥さんは皆、垢抜けていて、とてもついていけないものを感じ、収入や家庭環境などの面で何となく隣近所としっくりしないことなどが重なり、すっかり生活のリズムを崩してしまっていたのです。

精神科医は家族を呼んで、聖子さんがうつ病にかかっているため、十分な休養をとらせるように、何よりも家族の協力が必要なことを説明して、睡眠薬と抗うつ剤を処方しました。

その結果、聖子さんはしばらく実家に帰って休むことになりました。
3か月ほど薬物療法を続けた結果、実家に帰って十分な休養をとった聖子さんは、すっかり引っ越しうつ病を克服し立ち直っていきました。

骨折が原因で仮面うつ病を発症した大輔さん

大輔さんは、大手広告代理店に勤める44歳の係長でいつもそつなく、完璧にすばやく仕事をこなすため、社内外から仕事の出来る人と人気でした。

そんな大輔さんが、通勤時に不慮の事故で足を骨折し入院をよぎなくされました。

約1か月ほど入院して出社してみると、自分のやっていた仕事を部下がきちんとこなしていいて、安心と同時に焦りを感じた大輔さんは、毎日残業をして部下に負けないように頑張りました。

そのうち、家に帰っても眠れなくなって、朝はボンヤリして出社し、仕事でも何度も失敗をするようになり、次第に胃が痛い、頭が重い、肩が凝るなどと、いろいろな身体的症状を訴えるようになりました。

夫の異変を感じた妻が内科へ連れていき、検査を受けましたが異常く、病院を転々としましたが原因はわかりませんでした。

そんなとき、知人の勧めで心療内科を訪れたところ、「仮面うつ病」と診断され医師に病気であることを告げられた大輔さんは、ようやく納得して会社を1か月間休むことにしました。
休養と同時に週に一回カウンセリングに通ううちに、だんだんうつ症状は軽くなり、3か月後には克服し、無事に職場復帰を果たしました。

優等生を突然おそったうつ病、陽菜ちゃんの場合

陽菜ちゃん(12歳)は長女で、妹の面倒をよくみる手のかからない子供で、友だちも多く学校の成績も常に上位を維持し、スポーツも万能なので、周囲からうらやましがられることもよくありました。

そんな陽菜ちゃんが6年生になってから、どうも様子が変わってきたことに、母親の奈美さんが気がつきました。

以前は好き嫌いなく何でもよく食べ、食事をしながら学校での出来事を楽しそうに報告していましたが、食が極端に細くなり、目に見えてやせて、夜中に目を覚ますことも多く、朝はいつもだるそうにしています。
具合が悪いと体調不良を訴えて学校も休みがちになっています。

宿題を忘れたことを担任の教師から「あなたらしくない」と注意され、とたんに泣きだしてしまいました。
以来、いつもふさぎ込むようになり、ますます元気がなくなりました。

奈美さんが、「頑張って」と励ますつもりで声をかけたら、泣きながら「ごめんなさい。
もうダメなの」とおびえたような表情をして言ったので、奈美さんはびっくりして学校に相談し、児童精神科のある病院を紹介してもらい、受診しました。

検査の結果、からだには何も異常がありませんでした。
医師は、学校や家族のことなど様々な質問をし、その結果、小児うつ病と診断しました。

原因ははっきりしませんが、周囲の人たちに気をつかいすぎていることや、中学校に進むことへの不安なども一因ではないかとのことでした。

抗うつ薬が処方され、定期的に医師に会い、カウンセリングを受けることにより徐々に克服し、学校は1か月くらい休みましたが、その後は毎日通学しています。

本人は長い休みの後に学校に溶け込めるかどうか不安でしたが、担任やクラスメートが普段どおりに接してくれたので思っていた以上に自然に溶け込めたようです。

最近では、中学校に入ったら吹奏楽部に入りたいなどと将来の希望を話すようになるまで回復しています。

夫婦の対話不足から躁うつ病に、マミコさんの場合

主婦のマミコさん(35歳)は26歳のときに、教員の健太さん(28歳)と結婚しました。
社交的なつき合いよりも掃除や料理など家事が好きなマミコさんは、やりくり上手で健太さんも満足していました。
ところが、健太さんは2年前に地方の講師となったため、週のうち5日は地方で、2日が自宅という暮らしになりました。
忙しいと2~3週間帰れないこともありました。

何か月かたったある日マミコさんの衣服が突然派手になり、いつもの控えめなマミコさんではなくなっていました。
健太さんに相談もなく自宅の壁紙を張り替えたうえ、無駄な買い物が増え、浪費癖がついてしまいました。

注意すると怒り、長時間まくしたて、つかみかからんばかりの勢いです。

ヒステリーと思った健太さんが友人の内科医に相談したところ、精神科医を紹介され、そこで躁うつ病と診断されました。

健太さんが留守がちということもあって、マミコさんは実家のそばの病院に入院して治療を続けたところ、薬物療法の効果が出て症状が改善したため、入院2か月日には薬の投与も中止し、現在は退院して夫婦合同面接を中心に治療を行っています。

うつ病でも自宅でできる仕事~在宅ワーク