アリシンはニンニクの優れた効果効能の主役

アリシン

5つのアリシンの効果効能

1. 疲労回復

疲労回復はニンニクの効果効能として最も定評のあるところです。
エネルギー源となる糖とその糖を分解するビタミンB1が大量に含まれているうえ、アリシンがビタミンB1を活性化させます。

ニンニクのアリシンはビタミンB1と結びつくと活性持続型のアリアチミンに変わり、腸からの吸収率がアップします。

2. 食欲・消化増進

ニンニクをスパイスとして利用すると、多くの人はニンニク特有のにおいで食欲が高まる効果があります。
またアリシンは胃腸を刺激し、消化液の分泌を高める効果があります。

3. 細菌感染症予防

ニンニクのアリシンには強い抗菌効果があるため、かぜや鼻の炎症を起こす菌を寄せつけにくくする効果があるのではないかと考えられています。

4. 便秘解消

アリシンは、腸内の悪玉細菌の働きを抑制する効果があります。
この相乗効果で腸の蠕動か高まり、便が排泄されやすくなるのです。

5. 更年期障害の緩和

アリシンの作用で全身の血行が改善され、ホルモンの分泌が促進されるからと考えられています。

更年期に入る前から、ニンニクをよくとるようにすれば、更年期特有の症状が軽減できたり、ほとんど感じないですむ効果があるといわれています。

アリシンという揮発性の油性成分

ニンニクの優れた薬効を解明する鍵となったのは、あの強烈なにおいです。
においの元となっているのはアリシンという揮発性の油性成分です。

アリシン自体は、ニンニクそのものには含まれておらず、包丁で細かくたたいたり、おろし金ですりおろしてはじめて生成されます。
ニンニクを刻んだりおろしたりすると、無味無臭の硫黄化合物であるアリインが、別の細胞に含まれていた酵素のアリイナーゼと混ざり合って反応し、独特の刺激臭のする化合物が生成されます。

これがアリシンで、ニンニクの優れた薬効の主役です。
発見されたのは1900年代半ばのことでした。

アリシンはラッキョウ、ネギ、タマネギニラなどにも入っていますが、含有量はニンニクの2分の1から5分の1ほどです。

また、ニンニクにはグルコース、フルクトースなど十数種類の糖も含まれており、その総量は全体の4分の1にもなります。

そのほかビタミンAビタミンB1ビタミンB2ビタミンC、アデノシンも豊富です。
銅、鉄、亜鉛、スズ、カルシウム、マンガン、アルミニウム、ゲルマニウム、セレニウムなどの微量元素も多量に含まれています。

こういった成分が相互に作用して、次のようなニンニクのすばらしい薬効が発揮されると考えられています。

ニンニクのアリシンとビタミンB1が結びついてパワーアップ

ニンニクは、中央アジア~西アジア原産のユリ科の植物。
古くから、強壮作用、疲労回復作用をもつことが知られています。

ニンニクには、ビタミンB1ビタミンB6ビタミンC葉酸カリウム、ミネラル(リン、亜鉛、銅など)、炭水化物、タンパク質などのほか、アリインという成分が含まれています。

アリインは、そのままでは無臭ですが、切ったり、すりつぶしたりして細胞が壊されると、酵素(アイリナーゼ)の働きでアリシンとなり、これが、ニンニク独特のにおいを発するようになります。

また、アリインは空気に触れると二硫化アリルなどに変化し、抗菌作用を示します。

さらにアリシンは、ビタミンB1と結びついてアリチアミンという物質になります。
これは、水や熱などにも強く、吸収されやすく、さらにはからだの中で利用されやすいというメリットを持っており、疲労回復と強壮効果が期待できます。

アリチアミンは腸管からの吸収が極めてよく、血中でのビタミンB1濃度の上昇が顕著で長時間つづくという特徴があります。

これは、糖と脂肪酸を燃料にして長時間エネルギーを作ることができるという意味になります。
疲労したカラダにエネルギーを長時間補充してくれるのですから、疲労回復を助けてくれるのですね。

ニンニク注射ってどういうもの?
ニンニク注射とはいいますが、実際に本物のニンニクが入っているわけではありません。

ニンニク注射に配合されている成分は、医療機関によって若干異なりますが、ビタミンB1を中心とするビタミンと、ブドウ糖が主成分です。

ニンニクのようなにおいがしますが、これはビタミンB1中に含まれる硫黄によるもので、ニンニクのにおいではありません。

ビタミンB1の働きで、ブドウ糖がすみやかにエネルギーに変換されるため、「元気になった、やる気が出てきた」と感じるのではないかと思われます。

中には、「ニンニクを注射してもらっている」というイメージだけでも、元気になったような気がしている人もいるかもしれません。

「ニンニク = スタミナ = 元気」というイメージが定着していますよね。

ニンニクによる動脈硬化の予防効果

ニンニクによる動脈硬化の予防効果

脂肪分の多い食事を習慣的にとると、余分な脂肪が肝臓に蓄積されていきます。

ニンニクは肝臓での脂肪合成を妨げたり、胆のうのコレステロールや脂肪の排泄機能を高め、結果的に血中のコレステロール濃度を下げる働きをすることが確認されています。

その低下率についてはさまざまな実験結果があり、条件による違いもありますが、5~18%という範囲のようです。

ニンニクは血小板の過度の凝血反応を抑制して、動脈硬化の予防や血栓ができにくくする作用もあります。
血小板は血管内壁の小さな傷を修復する作用がありますが、動脈硬化があるとあちこちに血栓ができやすく、血管をふさいで、脳梗塞や心筋梗塞が起きやすくなってしまいます。

ニンニクの硫黄化合物は、血小板の凝集能を抑制することが確認されています。
動脈硬化や血栓予防薬として医師が処方するアスピリンと同様の作用があるといわれています。

また血管の収縮や拡張をコントロールしているプロスタグランジンに作用して血管を広げ、結果として血圧を低下させる作用もニンニクにはあるといわれています。

ニンニクの血管系に対する以上のような効能は、多食してすぐに期待できるものではありません。
長期に摂取してはじめて効果的とされています。

古代から知られていたニンニクの効能

古代から知られていたニンニクの効能

ニンニクの効能は古代から知られており、世界各地で利用されてきました。
エジプトのピラミッドには、ピラミッド建設に使役された奴隷たちが食べたニンニクやタマネギ、大根の量が刻んであります。

ニンニクは、過酷な労働に従事した労働者たちの重要なスタミナ源だったようです。

薬としてのニンニクの歴史も相当古く、古代までさかのぼります。
医学の祖として知られるヒポクラテスをはじめとしてギリシャ時代の医師たちは、ニンニクを利尿剤や消化器系の清浄剤、虫歯の治療などに使用していました。

日本においても、平安時代の「源氏物語」では風病の薬として、「宇津保物語」では妊産婦によい食べ物として登場しています。

約500年ほど前にまとめられ、2,000もの薬物名と処方を収めた中国の書「本草網目]には、かぜ、便秘、下痢、冷え性、皮膚病などに効くと記されています。

このようにニンニクは古くから世界各地で広く用いられてきました。

薬としてのニンニクは、西洋医学の隆盛とともにすたれかけましたが、民間療法で使われ続け、このところまた健康食品として脚光を浴びています。

ニンニクの成分について科学的な検証がなされ、その有効性が証明されつつあります。

ニンニクの副作用やアレルギー

ニンニクの副作用やアレルギー

ニンニクを生で食べると口の中がヒリヒリします。
そのまま飲み込むと胃も刺激を受けますので、食べすぎると胃が荒れる原因になります。

個人差がありますが、一般に1日に1片か多くても3片が適量といわれており、とりすぎると胸やけや、頭が重くなるなどの不快な症状が出る場合があります。

胃腸の弱い人や潰瘍のある人は摂取を控えたほうが無難でしょう。

ニンニクを食べるときには水や牛乳を一緒に飲むと、こういった症状を軽減できるようです。
ニンニク油は、こうした不快な作用はないといわれています。

ニンニクを食べると目の病気が重くなったり、目やにが多くなったり、視力低下をきたす人もいます。

日ごろ、目の病気にかかりやすい人は少量をとるようにしましょう。

ニンニクの汁が皮膚につき、そのまま放置しておくと、かぶれたり水痘ができたりする場合もあります。

ニンニクを食べるとアレルギーの出る人もいます。
発疹、ぜんそく、頭痛などが出たり、顔が赤くなったりします。

アレルギー体質の人や、ニンニクを食べ過去に症状の出たことのある人は、十に注意をする必要があります。

食べる量を減らすか、キャラウー、ウイキョウなどのハーブを一緒、に摂取すると、アレルギーや副作用は出にくくなるといわれています。

大量摂取は避けるべき人 薬剤の作用に何らかの影響も

近年、ニンニクには、血液の流れを改善し、血栓(血のかたまり)をつくりにくくする作用があることも明らかになりました。

血栓予防の効果も期待されるところですが、血栓をつくりにくくする薬と併用すると、両者の作用が重なって、出血しやすくなる、出血が止まりにくくなるなどの症状があらわれることが考えられるので、併用は避けましょう。

また、ニンニクには、血圧や血糖値を正常に保つ働きがあるともいわれます。
しかし、高血圧や糖尿病で治療を受けている場合は、血圧や血糖値のコントロールがうまくいかなくなるおそれもあるため、医師や薬剤師に相談するようにして下さい。

薬の作用に、何らかの影響を及ぼす可能性は高く、注意が必要です。

いずれの相互作用についても、食事の中で普通に食べる程度であれば心配はないと思われます。
しかし、病気の治療中に「元気をつけよう」とサプリメントやドリンク剤などでニンニクを摂る場合は注意をしましょう。

ニンニクを口にするときには、においだけでなく、飲んでいる薬や今の症状に対する影響にも、十分配慮することが大切です。

ニンニクの効果的な食べ方

ニンニクの効果的な食べ方

ニンニクは、組み合わせ次第で効果が2倍にも3倍にもなる食べ物です。
例えば豚肉はビタミンB1を多く含む食品で、疲労回復に効果があります。


ビタミンB1は単体ではからだに吸収されにくいという欠点がありますが、ニンニクを組み合わせることで、ビタミンB1の体内への吸収性を高めることができます。

また、動物性脂肪はとりすぎると血液中のコレステロールや中性脂肪が過剰となり、生活習慣病(成人病)の原因となります。

ニンニクには脱コレステロール作用がありますので、肉類を食べるときは意識してニンニクを組み合わせるように心がけましょう。

ニンニクを使った料理を食べるときは、生のかけらのまま調理しても効果は期待できません。
煮もの、炒めもの、焼きものいずれの場合も、切り刻むかすりおろして使うようにしましょう。

ニンニクの薬効成分が食材にしみ込んで、効率よく摂取することができます。

牛乳やお湯を入れたコップにつぶしたニンニクを入れ、ハチミツを加えて飲みほすのは、よく用いられる方法です。

醤油や油、酢などにニンニクを1~3か月ほど漬けて、その浸出液や実を調理に使用する方法もあります。