ビタミン欠乏症一覧

2020年6月30日

ビタミン欠乏症

ビタミン欠乏症のメカニズム

壊血病やくる病など、昔よくみられた欠乏症は、今日ではほとんどなくなりました。
しかし、現在でも栄養失調はなくならず、ライフスタイル、習慣、健康状態などの理由で、症状がほとんどなくてもビタミン欠乏症すれすれの人がいます。
消化後に吸収が妨げられるか、過剰な排出を起こす病気にかかっている人は、十分に食事をとっていてもビタミンが不足する事があります。

ビタミン欠乏症はダイエット中の人や、毎日の食事を外食,ファーストフードなどに頼っている人にもみられます。厳しく制限された食事や、加工食品が多い食事をする人はビタミン不足におちいりやすいのです。

ハウス栽培による季節はずれの野菜や果物は、昔の物に比べてビタミンの含有量が低下しています。
輸送や保存、加工食品の製造過程でも、ビタミンが失われます。
このビタミンの不足が現代人に多い半健康状態の一因といわれています。

また水溶性ビタミンは、体内に蓄えられないので、ビタミン欠乏症が起きやすい傾向があります。
そのうえ、調理の段階でビタミンが壊れやすいため、毎日、新鮮な状態で、あるいは軽く料理したかたちで摂取しなければなりません。

深刻なビタミン欠乏症には、医師の治療が必要です。

しかし、予防にまさる治療はありません。
食品から必要なビタミンを摂取することで、からだのバランスをととのえる微量ミネラルも一緒にとることができます。 日ごろから、健康的でバランスのとれた食事を通じてビタミンを効率よく摂取するのことがビタミン不足,ビタミン欠乏症の予防方法です。

ビタミンの摂取不足→体内の貯蔵量の低下→栄養素の代謝障害など→欠乏症状(ビタミン欠乏症)
ビタミン製剤などから脂溶性ビタミンを大童にとり続けると、ビタミンが体内に蓄積し、過剰症が現れますが、食事からとっている限り過剰症になることはまずあはせん。

水溶性ビタミンは大量にとっても尿と一緒に排泄されるので、過剰症は起こりにくいとされています。

脂溶性ビタミンは、肝臓や脂肪組織に貯蔵されているため、欠乏症が起こりにくいといえます。

一方、水溶性ビタミンは尿と一緒に排泄されやすく体内の貯蔵量が少ないので、摂取量が不足すると比較的短期間で欠乏症を生じます。
特にビタミンB1は加熱調理で壊れやすいため、欠乏症状が現れやすいビタミンです。

ビタミン欠乏症・過剰症の予防には、栄養バランスのよい食事をとることです。

多様な食材を使ってバラエティー豊かなメニューを心がけましょう。

ビタミンは食事からとるのが基本です。
各種のビタミンを豊富に含む野菜や果物をバランスよく食卓にとり入れましょう。

ビタミンが欠乏しやすい人

ビタミン欠乏症は、食事の分量や回数が少ないときに起こることが多いものです。例えば偏食や無理なダイエットで、特定の食物しかとらない状態が続くと、ビタミンの摂取量は不足がちになり、欠乏症状が現れてきます。

偏食や誤った菜食主義、インスタント食品の常食などで栄養が偏っている人は注意が必要です。
特に女性に多くみられる神経性食欲不振症、肥満恐怖症といったケースでも、ビタミンは不足がちになります。

妊娠中の女性では、つわりによる嘔吐で吸収不足を起こしたときのほか、出産後は授乳などでビタミンの必要量は増加します。
通常よりも多くビタミンの摂取を心がけたいものです。

間食の多い人も糖質やカロリーのとりすぎになりやすく、相対的にビタミンB1の不足を招きます。

間違った健康志向で、油分を極端に減らした食事を続けていると、脂溶性ビタミンが不足してくることがあります。

また、一人暮らしの高齢者も、栄養のバランスが崩れがちで、ビタミン欠乏症になりやすいといえるでしょう。

激しいスポーツの後や、胃の切除後に起こるケースもあります。
エネルギーの消費量が増大するため、代謝に不可欠なビタミンB群が不足がちになるからです。

飲酒、喫煙も欠乏症の原因となります。
過度の飲酒は生活習慣を不規則なものにしがちです。
たいていは栄養不足に陥り、ビタミン払欠乏症を招きます。
タバコを吸う人はビタミンCの消費が多いので、ビタミンC欠乏症に注意しましょう。

肝臓機能に障害があると、体内でビタミンが有効に利用されなくなります。
その結果、必要量は満たされていてもビタミン欠乏症を引き起こすことがあります。

過度のストレスにさらされている人も十分な注意が必要です。
ストレスの蓄積は喫煙同様、ビタミンCの消費量を増やし、その結果、不足を招きます。

ビタミンの摂取量が不足すると、欠乏症になる前に、まず潜在性ビタミン欠乏状態になります。
潜在性欠乏状態では、からだの各組織のビタミンの貯蔵量が少なくなります。

さらに不足が続くと、からだの機能低下を招きます。
どのビタミンが不足しても、疲れやすい、だるい、食欲がない、頭が重い、肩がこる、動悸やめまいがする、いらいらするといった漠然としたからだの不調である不定愁訴が現れるようになります。
潜在性ビタミン欠乏状態が続いた結果、それぞれのビタミン欠乏症状が起こります。

ビタミン欠乏や過剰で発症する病気

ビタミンという言葉は、ラテン語のvita(ビタ:生命)と、英語のamine(アミン:アミノ酸)からなる造語です。

ビタミンが発見されたころには、からだをつくるタンパク質の一種と考えられていたため、語尾にアミノ酸がついてしまったのです。

語源からもわかるように、ビタミンはからだの機能を正常に保ち、健康を維持するのに欠かせない物質です。

炭水化物やタンパク質、脂肪をエネルギー源に変える代謝の働きをスムーズにする作用があります。

生化学の研究が進み、これまでに約20種類のビタミンが発見されています。

ビタミンを大別すると、脂肪に溶けやすい脂溶性ビタミンと、水に溶けやすい水溶性ビタミンに分けられます。

ビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンの多くは内臓に直接働きかけて、内臓の機能を維持しています。

水溶性ビタミンにはビタミンB群、Cなどがあり、代謝の酵素反応を助けています。

ビタミンには体内でつくりだせないものが多いため、食事でとらなければなりません。

健康な生活を送るために必要な摂取量は、厚生省が作成した「日本人の栄養所要量」が一応の判断基準とされていますが、体形や健康状態などの条件で変化します。

ビタミンそれぞれの所要量は非常に少ないのですが、からだには不可欠な物質なので、不足するとビタミン欠乏症になり、さまざまな症状が現れます。

一方、必要以上にとりすぎると尿中に流出してしまったり、体内に蓄積されてビタミン過剰症を招きます。

ビタミン欠乏症の原因と症状

ビタミンA欠乏症

ビタミンA欠乏症ビタミンAは食品に含まれるビタミンA前駆体のプロビタミンAが、小腸や肝臓などでつくり変えられたものです。

プロビタミンAのうち、最もビタミンAの効力が大きいのは、ニンジンやホウレンソウに多く含まれるベータカロチンです。

このベータカロチンの摂取量が不足したとき、またビタミンAを全身に運ぶ血液中のタンパク質が、重症のけがややけどで減少した場合に欠乏症状が起こります。

ビタミンAは、皮膚や粘膜を保護したり、目の働きを正常に保つほか、発育や生殖にもかかわっています。

ビタミンAが不足すると、まず、皮膚が角質化します。
角質化はタンパク質の一種であるケラチンが沈着して硬くなるもので、皮膚が荒れたりひび割れたりしてきます。

角質化は上腕や太ももに起こりやすく、進行すると肩や背中、臀部、腹部にも現れます。

また、気管支や泌尿器の粘膜が角質化し、細菌やウイルスの感染によって炎症を起こしやすくなったり、消化管の粘膜の角質化により栄養成分の吸収障害などが生じます。

性腺の変性、睾丸の萎縮、子宮粘膜の角質化などが起こり、不妊の原因になるケースもあります。

次には視覚、味覚、嗅覚、聴覚などに障害が起こります。

目の症状としては夜盲症があります。

夜盲症は暗いところで物が見えるまでに時間がかかるものですが、ほかに涙の分泌量が減り、角膜が乾燥して痛むこともあります。

ビタミンB1欠乏症

ビタミンB1欠乏症ビタミンB1には炭水化物の代謝を助けたり神経の働きを調節する作用があります。

そのため、ビタミンB1の摂取量が不足したときはもちろん、炭水化物のとりすぎやお酒の飲みすぎなどで、代謝のための必要量が増加した場合にも欠乏症状が起こります。

主な欠乏症状は脚気(かっけ)とウェルニッケ脳症の二つです。

脚気の症状は、ビタミンB1の摂取不足が3~4か月続いた後に生じます。

初期には全身倦怠感が現れ、進行すると食欲不振になったり、手指や足先がしびれたり、足が重く感じられたりします。

椅子に腰かけて膝から下の力を抜いた状態で、膝の骨の下のくぼみをハンマーなどでたたくと、足がひとりでに跳ね上がる膝蓋腱(しつがいけん)反射では、足が上がらなくなります。

手首から先や、足先に力が人らなくなることもあります。

また、動悸や息切れ、足や顔にむくみが現れ、まれに突然嘔吐してショック状態に陥るケースもみられます。

一方、ウェルニッケ脳症では、両目を同時に動かせなかったり眼球が外側や内側を向いてしまう眼球運動障害や、歩くときによろける失調性歩行、意識障害などが現れます。

ビタミンB2欠乏症

ビタミンB2欠乏症ビタミンB2欠乏症はビタミンB2の少ない食事を続けたときはもちろん、アルコール依存症や肝機能障害がある場合に起こります。

また向精神薬や抗生物質を長く服用し続けたときに生じることもあります。

ビタミンB2には粘膜を保護する役割もあるので、欠乏すると粘膜の炎症が起こりやすくなります。
口の端の部分がただれて裂ける口角炎や口内炎、舌炎などの口の中の炎症、目に異物感を伴う角結膜炎や、肛門や陰のうの皮膚がふけのように細かくむけて落ちる脂漏性皮膚炎などが現れます。

のどの痛み、性欲の減退、まれには貧血、月経の停止などがみられます。

ビタミンB6欠乏症

ビタミンB6欠乏症ビタミンB6は炭水化物、タンパク質、脂肪の三大栄養素の代謝にかかわっています。

欠乏症が起こるのは、食物からの摂取不足が続いたり、抗結核薬や経口避妊薬のうち、ビタミンB6の働きを妨げる作用のある薬剤を服用しているときなどです。

欠乏症状としては、食欲不振や嘔吐などの消化器症状、口角炎、口内炎、舌炎、口唇炎、皮膚に触れた物質にかぶれる接触皮膚炎などがあげられます。

ビタミンB12欠乏症

ビタミンB12欠乏症ビタミンB12欠乏症は、胃の切除後や膵臓の病気などで胃腸からの吸収がうまく行われなくなると起こりやすくなります。

ビタミンB12は、血液中の酸素運搬役である赤血球の生成にかかわっています。

そのため、欠乏状態が続くと、赤血球が不足する巨赤芽球貧血とよばれる貧血になり、全身の倦怠感、動悸や息切れが現れます。
また、舌の表面が赤みを帯びたり、つるつるになったり、しびれてきたりするほか、食欲不振や下痢、手足の麻痺などを招くこともあります。

ビタミンC欠乏症

ビタミンC欠乏症ビタミンCにはコラーゲンの生成、毛細血管を丈夫に保つ働きなどがあるので、ビタミンCの不足が続くと血管壁がもろくなり、全身のあちこちから出血する壊血病が起こります。
壊血病では、全身の倦怠感や脱力感、食欲不振が現れ、皮膚が乾燥したり角質化します。

また、皮下出血による紫色の斑点が生じてきます。

症状が進むと歯茎、粘膜、筋肉、内臓などの毛細血管からも出血するようになり、放置すると貧血につながることもあります。

ビタミンCは野菜や果物に多く含まれ、通常の食生活を送っていれば不足することはまずありません。

ただ、かぜやストレスが続いたり、タバコの吸いすぎによってもビタミンCの必要量が増えるので、注意が必要です。

ビタミンD欠乏症

ビタミンD欠乏症ビタミンDには、ビタミンD前駆体のプロビタミンDのかたちで摂取され、日光の紫外線にあたると体内でビタミンDに変化するものがあります。

また、ビタミンDは、肝臓や腎臓でからだが利用しやすいかたちにつくり変えられ、はじめて効力を発揮します。

このため摂取量の不足はもちろん、外出の機会が減って日光にあたらなかったり、肝臓や腎臓の病気がある場合にも、欠乏症状が起こりやすくなります。

ビタミンDは、カルシウムやリンが小腸で吸収されるのを助けたり、骨を丈夫に保つ役割があります。

欠乏状態になると、カルシウムやリンが小腸で吸収されにくくなり、子供ではくる病、成人では骨軟化症が起こります。
欠乏症の初期には、いらいらや不安、不眠が現れます。
汗をかきやすい、顔色が青白くなる、疲れやすい、筋肉や皮膚の張りがなくなるなどの症状もみられます。

放置すると、子供では歯や骨の発育に支障をきたすだけでなく、骨が変形してX脚や0脚になることがあり、成人の場合は虫歯になったり骨が変形しやすくなります。

ビタミンK欠乏症

ビタミンK欠乏症ビタミンKには血液を凝固させる働きがあります。

そのため、欠乏状態になると出血しやすくなり、血尿や鼻血、ときには脳出血の誘因になるケースもあります。
また、欠乏状態が続くと貧血を起こしやすくなります。

ビタミンKはさまざまな食品に含まれているので、日常生活では摂取不足はほとんどありません。

欠乏症状が起こりやすいのは、肝機能障害や腸炎で消化吸収能力が低下しているときです。

ナイアシン(ニコチン酸)欠乏症

ナイアシン(ニコチン酸)欠乏症ナイアシン(ニコチン酸)はタンパク質の代謝にかかわるビタミンです。

タンパク質はからだをつくる大切な栄養素ですから、ナイアシン(ニコチン酸)が不足すると、からだのあちこちに症状が現れます。

このナイアシン(ニコチン酸)の欠乏症は「ぺラグラ」とよばれ、主に皮膚、消化器、神経に症状が起こります。
皮膚症状は、顔や首、手足の甲などの日光のあたりやすい部分が日焼けしたように暗褐色になったり、水疱ができたりした後、皮膚が荒れ、色素が沈着します。

消化器に出る症状では食欲不振、腹痛、下痢などがみられます。

神経や精神面の症状では、頭痛や耳鳴り、不安や抑うつが現れ、重症になると幻覚や妄想を抱いたり、痴呆を招くことがあります。

葉酸欠乏症

葉酸欠乏症葉酸は、妊娠中や成長期、がんになると必要量が増え、欠乏症状が現れやすくなります。

葉酸は赤血球の生成にかかわっているため、主な欠乏症状は巨赤芽球貧血です。

口内炎や舌炎、下痢などが起こることもあります。

ビタミン欠乏症の検査と診断

体内のビタミン貯蔵量が不足すると、血液に含まれるビタミンの濃度が低下します。

そこで、それぞれの欠乏症状が疑われる場合には、血液中のビタミン濃度の測定が行われます。

なお、初期にみられる潜在性ビタミン欠乏状態による症状は、ほかの病気でも現れます。

そこで、ビタミン剤を試みに服用して症状が軽くなったり治まったら、ビタミン欠乏症と診断されることもあります。

【ビタミンA欠乏症】

ビタミンA欠乏症は、まず、問診と同時に皮膚症状が観察されます。

次いで視力検査、視野検査、眼底検査などの一般的な眼科検査とともに、暗いところでどのくらいの光を感じるかを調べる暗順応検査(夜盲症の検査)が行われます。

また、血液中のビタミンAの濃度や、ビタミンAを全身に移送するタンパク質の量を調べる検査もあります。

【ビタミンB1欠乏症】

ビタミンB1欠乏症は、血液中あるいは尿中のビタミンB1の濃度を測定して、1日分の尿に含まれる量が100μg以下の場合には欠乏症と診断されます。

また、神経症状のチェックや、むくみの有無の観察が行われます。

【ビタミンB2欠乏症】

ビタミンB2欠乏症は、血液検査では、血液1 d1中のビタミンB2の量が6.0μg以下の場合は欠乏症と診断されます。

【ビタミンD欠乏症】

ビタミンD欠乏症は、問診、血液検査と並行して、骨のⅩ線撮影が行われます。

ビタミン欠乏症の予防と治療

ビタミン欠乏症の治療では不足しているビタミンを補います。

各ビタミン製剤の内服や注射が行われますが、通常の食事をとることができる場合には、ビタミン過剰症を避ける意味からも食事の改善が第一です。

なお、欠乏症状を引き起こしている病気やけががあれば、その治療も並行して行われます。

ビタミンはいろいろな食品に含まれていますから、何でもバランスよく食べることがビタミン欠乏症の第一の予防法です。

水溶性ビタミンは水に溶け出しやすいので、煮汁ごと食べられる調理法を工夫するとよいでしょう。

脂溶性ビタミンは、油を使って調理すると吸収がよくなります。
各ビタミンの特性を知っておきましょう。

食生活とビタミン欠乏症

ビタミンの血液中の濃度や生化学的検査もビタミン欠乏症や潜在性欠乏症の判定に用いられています。

最近の食生活の変化で、家庭で調理しないで、調理済みの食品やコンビニエンス・ストアの食べ物だけで、食事を済ますことを毎日続けていると、ビタミンとミネラルの欠乏を起こす危険性が高くなります。

高齢者ではビタミンの欠乏症が起きやすい状況にあります。
それは、施設などに収容され、生活している老人の食事の摂取量が不足しているからです。

つまり、食事の残食率が高いために栄養士などがビタミンのみならず、いろいろな栄養素を十分に補給できる食事献立を考えても、実際に食事を摂取しなければ、ビタミンに限らず栄養素の補給が不十分になってしまうからです。

そのため残食率の高い高齢者などには、ビタミン剤などによる補給を考慮する必要性が極めて高いということです。

ビタミン欠乏症の予防・治療には不足しているビタミンを補うことが大切です。